千野幸秀さんと、独立について。
千野幸秀さんは、プロのカメラマンです。
年齢としては僕と同世代ですが、
選んだ道は、リスクの大きいものでした。
なぜ、独立を選んだのか?
そんなお話を聞いてきました。
1回:追い詰められてる感はありますよね。
矢透 |
今回は、働くことに関して いろいろ聞こうと思っているんですが、 身近に、 独立したなんていうプロのカメラマンの人って いないじゃないですか。なかなか。 それに合わせて、同世代として、 他の人がどういう進路を取ってるのか っていうのも興味があるんです。 (矢透泰文は今年で26歳になります) |
千野 |
追い詰められてる感はありますよね。 二十代の今しかない、 と決断した感じはありますね。 この時期を逃したら、周囲の環境が、 無茶を許してくれなくなってくる(笑)。 |
矢透 |
今は『プロのカメラマン』 っていう肩書きでいいんですか? |
千野 |
カメラマンっていうのは 資格がないんですよ。だから 「俺、プロのカメラマン」 って言った瞬間から、 カメラマンになるわけですよ。 ただ実績はまた、別です。 俺はプロだって言い張ってますけど。 |
矢透 |
まずは言い張らないと。 |
千野 |
そうそう(笑)。 |
矢透 |
独立しようと思ったのって、 どれくらい前なんですか? |
千野 |
もともとは、独立しようとは思ってなくて。 カメラマンの師匠の元を辞めたときに、 まずはカメラマンではなく、 アシスタントとして、勉強しなおそう って思ってたんです。 で、それまでの繋ぎとして、 フリーターみたいな生活をしていたんです。 |
矢透 |
最初はプロになるつもりはなかったんですか。 それで、どういう心境の変化が? |
千野 |
そういう生活をしているうちに、 もう春になれば俺は26になる、と思って。 教科書どおりのデビューの道筋で言えば、 スタジオでいろいろなカメラマンの補佐につき、 それからどこかのカメラマンの専属になって ようやくデビュー、 というのがあって、だからまずスタジオに入ろうと。 スタジオに入れば有名なカメラマンさんにも会える。 ライティングも勉強できる。 |
矢透 |
なるほど。 |
千野 |
でも、 スタジオに来るカメラマンと、 アシスタントとして引っ張ってもらえるくらいの 信頼関係が築けるまでには、時間がかかる。 それまでスタジオマンとして2年間働いたとしよう。 そこから専属についてさらに、2年働くとしよう。 デビュー、30だな、と。 30で裸一貫か、と思ったんですよ。 しかも、独立したては仕事がないらしい と聞いていた。 だったら 今から独立して、人脈を築けないのかな と思ったんですよ。 で、そう思ったら そっちの方にしか頭が行かなくなっちゃって。 |
矢透 |
アシスタントっていう仕事は、 写真撮影をするわけじゃないんですね? |
千野 |
全然違いますね。 写真に関係のない仕事のほうが むしろ多いんですよ。 アシスタント業が良くできるかといって、 良いカメラマンになるとは限らないです。 アシスタントを長くやっていると、 アシスタント業に飲まれちゃうんですよ。 先々のことが全然見えなくなっちゃったりとか。 目の前のことで手一杯になってきちゃう。 |
次回
第2回:ニーズと見返りが、合っていなかった
に続きます!