千野幸秀さんと、独立について。
千野幸秀さんは、プロのカメラマンです。
年齢としては僕と同世代ですが、
選んだ道は、リスクの大きいものでした。
なぜ、独立を選んだのか?
そんなお話を聞いてきました。
第2回:ニーズと見返りが、合っていなかった
矢透 |
前に勤めていた会社では、 どんな仕事をしていたんですか? |
千野 |
自分が付いていた カメラマンの師匠の場合は、 ハウススタジオでの撮影がほとんどで 割と規模の小さい撮影が多かったですね。 ハウススタジオっていうのは 普通の民家とかをスタジオ仕様にしてある ところなんですよね。 |
矢透 |
民家・・・ |
千野 |
アパートとか一軒屋を少し改造して スタジオにしてあるんですが、 プロ用ストロボの使用に耐えられないような 電力のところも多くて、 しかも普通の家だから広さもないので、 ライティングは限られてきちゃうんです。 |
矢透 |
すみません、ちょっと読者のために 質問させてください。 前に務めていたカメラマンの師匠というのは・・・ |
千野 |
アダルトのDVDパッケージがメインの人です。 そういう分野では大御所の人でした。 たまに企業のPR撮影があったり、 いわゆる「カタい」仕事もしていましたが。 |
矢透 |
では、逆に 大きな規模の撮影って どういったものなんですか? |
千野 |
箱スタ(箱スタジオ)と呼ばれる スタジオがあって 大抵そういうところはきちんと 電力も確保されて、スペースも広いので 撮影の自由度が上がります。 箱スタだからといって 必ずしも大規模とは限りませんが、 大規模な撮影はそういうところでやるのが 普通でしょうね。 |
矢透 |
カメラマンの人っていうのは、 今説明してもらった大規模なものから、 小規模な、それこそ民家で 撮影するようなものまで、 網羅している人がほとんどなんですか? |
千野 |
それはまちまちですね。 両方できる人もいれば、 自分の専門の撮影しか できない人もいます。 何にでも対応できるように とは思っていますが、 大きな規模の撮影をこなせるカメラマンに なりたい、という思いはありますね。 何を撮りたいかというとき、 「アダルトじゃないな」 っていう思いは、 会社でアシスタントをしていたときも あったんです。 こんなつらいアシスタント業をやりながら、 結局、この先アシスタントとして得る コネクションがアダルトしかない ということに気がついて・・。 それから急にモチベーションが 下がってしまいましたね。 |
矢透 |
ニーズと見返りが合っていなかったんですね。 |
千野 |
そう、 金をもらえるならいいや、とか 自分は違うアプローチがあるとか、 そんなふうに思える人はいいと思うんです。 でもそのときの俺はそう思えなかった。 |
矢透 |
でもわかりますね。 こんなはずじゃない、 っていう。 |
千野 |
下働きみたいなやつを すっ飛ばしたかったんです。 きっと。 師匠の知り合いのスタジオのペンキ塗りとか、 土木作業をやることが多かったんですが、 どうしても 「やらされている感」 がぬぐえなかった。 このままじゃダメだ。 写真はやりたい。 でもアシスタント業はやりたくない。 |
矢透 |
写真をやる、ということと、 泥まみれになることがつながらなかった。 |
千野 |
そうですね。 つながらなかったですね。 |
矢透 |
僕も2つの意識があって、 下働きをすっ飛ばしたい という気持ちと それをすっ飛ばしちゃダメなんだぞ、 という気持ちと。 一体どっちの声についていったら 正しいんだろう? といつも悩むんです。 |
千野 |
結果次第でしょうね。 今プロとして仕事をしている人でも、 弟子入りをしていなかった人もいるし。 結果がでれば それが正しいと証明できるでしょうし、 結果がでなければ 間違っていたということなんじゃ ないでしょうか。 |
次回
第3回:今は、営業しちゃいけない時期
に続きます!