千野幸秀さんと、独立について。
千野幸秀さんは、プロのカメラマンです。
年齢としては僕と同世代ですが、
選んだ道は、リスクの大きいものでした。
なぜ、独立を選んだのか?
そんなお話を聞いてきました。
第5回:視点が変わってきている。
矢透 |
でも、会社を出てしまうと、 相当、見える景色が違うんでしょうね。 |
千野 |
あの、なんていうんでしょうね。 自分がそういう状況になって思うのが・・・ ・・・とにかく疲弊します。 精神的に参ります。 まず、税金にです。 |
矢透 |
税金、何をとられるんですか? |
千野 |
まず、地方税ですね。 国民年金、健康保険。 あとは所得税とかですけど。 結局サラリーマンっていうのは、 そういった税金が引かれた状態で 給料がもらえるのですが、 フリーでやっている人間の場合は 「給料だ!」 ってもらったところから、さらに引かれてしまう。 この、搾取されている感じ! だから、会社っていうシステムって すばらしいんだな。守られているんだな って、感じがします。 |
矢透 |
そういうことなんですね、 会社を出るっていうのは・・・。 甘い言葉でいろいろ言われていますけれど。 |
千野 |
稼げていないフリーの人間ほど、 心を病んでいくものはないですね。 逆に、稼げていればいいですが。 会社に勤めて、師匠の下で働いていたときと、 全然感覚が変わってきてますからね。 今振り返って思うのが 「あー、よく自分の面倒を見てくれていたんだな」 っていうことですね。 |
矢透 |
視点が変わってきている。 |
千野 |
そうですね。 一緒にやっていたときよりも、 師匠のことを尊敬できるようになったし、 すごい人なんだなって思いますね。 ここまでくるにはいろいろあったんだなあって。 自分でやるようになって。 |
矢透 |
ちょっと感動的じゃないですか。 |
千野 |
自分がやりたくないことを押し付けられると 「やらされている感」 を感じてしまうんです。 だからもういっそ、 自分の事は自分で全部決めて、 言い訳を作れなくしてやろうと。 そうすれば、 嫌なことが降りかかってきても、 自分が決めたことだって 思えるんじゃないかって。 |
矢透 |
その試みは、うまくいっていますか? |
千野 |
そうですね。会社に勤めて アシスタントをやっていたときのような 「やらされている感」 はまったくないですね。 |
矢透 |
何が・・・違うんだと思いますか? |
千野 |
前は 多少手を抜いても師匠がやってくれる、 と甘えていたんだと思うんです。 でも今は、自分が動かなかったら どうにもならないと思うし。 自信がなかったというのもありますね。 何もわからないまま入ったので、 右も左もわからず・・・ でも今考えると、 自信なんて後から付いて来るもので、 イキオイでやっちゃったほうが 良かったんですよね。 |
矢透 |
逆に今のほうが、 自信を持ちにくい状況じゃないか? と思うんですけれど、 そこらへんはどうですか? |
千野 |
でも、 自信がないとか、言ってられないんですよ。 俺はできると思ってやってないと。 仕事を頼まれたときに 「自信ないです」 とは口が裂けてもいえないです。 |
次回、最終回です!
第6回:「よし、この道を行くぞ」という分岐点
に続きます!