「内向型人間の時代」に学ぶ、私たちの2つの誤解

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

何回かこのブログでは、内向型と呼ばれる気質について書いておりますが、全米でベストセラーになり、「内向型」に光を当てる端緒となった本「内向型人間の時代」を読んでおります。いやー、面白いです。

今回は、読書途中ということで、その中間報告をば短くいたします(ただし最終報告があるかどうかはわかりません)。

内向型に光を当てる、という役割を担っているためか、この本はまず、外向型偏重の社会の思い込みや誤解を数章に渡って解いていますが、言われてみれば「確かに!」と思える2つの誤解について、今回はレポートしましょう。



内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力
スーザン・ケイン
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リーダーには「カリスマ的要素が必要」の誤解

まず1つ目は「リーダーシップに対する誤解」です。

一般的に、リーダーに求める素質、といったとき、私たちは社交的で自信家で、喋りが上手で・・・という「外向型」の特質を求めがちですが、必ずしも外向型がすなわちリーダーに向いているわけではない、といいます。

リーダーに求められるのは、洞察の深さや決断力、メンバーの力を引き出す、といったことですが、私たちが「リーダシップ」というときに思い浮かべる、雄弁で自信にあふれた人が、リーダーの素質を備えているかどうかは、別問題です。

例えば、思慮深さにおいては内向型の特質が大きく貢献しますし、実際に有名企業のCEOには内向型の人が多数いるそうです。

また、メンバーを鼓舞し力を引き出す方法は、メンバーの構成員の特質によって異なります。例えば能動的な従業員が多い組織の場合は、内向型のリーダーが向いています。従業員の意見を聞き、それを取り入れ、さらに能力を発揮するように動機づけをするからです。また、受動的な人が多い組織の場合は、彼らを強く導く外向型が向いています。

私たちは「カリスマ的リーダーシップ」という幻想にとらわれすぎている、とこの本では述べられています。必ずしもリーダーシップに求められる特質は一つではないのです。

「共同作業が創造性をもたらす」の誤解

また、次の章では「新集団思考」と筆者が呼ぶ概念について批判的な論旨を展開しています。「新集団思考」とは、創造性や知的業績は社交的な場からもたらされる、という考え方です。

近年の仕切りのないオープンオフィスの隆盛や、チームワークや共同作業をを重視する傾向は、「新集団思考」が多くの企業に支持されている結果です。

しかし筆者は、本当に創造的になるためには1人になる必要があると述べています。特に内向型の人にとっては、周囲から隔絶された空間が絶対に必要です。オープンオフィスは創造性をもたらすには逆効果なのです。

大事なことは、隔絶された自分のための空間と、社交的に開かれた場所を自由に行き来できることだ、と筆者は言います。
多様な空間があることが、内向型の人にも、外向型の人にも恩恵を与えるのです。

アップルコンピュータの創業者の1人、スティーブ・ウォズニアックがパーソナルコンピュータを設計したときも、一人きりで作業をする場所と、気軽に同僚と雑談できる場所を自由に行き来できた環境があったといいます。

おわりに。中間報告まとめと着想

上の2つの誤解を解いた後、いよいよ本書は内向型が持つ強みや、その活かし方についての章に入っていきます。

その前に、私が現時点で思うことをまとめておきたいと思います。

リーダーシップの章でもありましたが、内向型の人には、「共感性が強い」「周囲をよく観察する」「人の話を聞く」という特質、強みがあります。そうした思慮深さが、内向型リーダーシップの源泉でしたが、そうした特質と「ストレングスファインダー」はすごく相性がいいと改めて思います。

内向型の人にとっては「ストレングスファインダー」により、自分自身や仲間の強みを知ることは、大いに有益でしょう。「ストレングスファインダー」の本懐は、強みを知ることとともに、それを活かし、育てることにありますから。

自分だけでなく他人にも目を注ぐ、そういうところが、もしかすると内向型の優れたリーダーシップの力の源泉なのかもしれません。

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