アイスランドへ旅した岩坪文生(ふみお)さんの
コラムを連載しています。
アイスランド グルメと仮死の旅 第8回
そして、ウェストフィヨルドへの旅。
これは本当に死ぬかと思った。
まず、フィヨルドの名前通り、曲がりくねった海岸線沿いと
恐るべき狭い道を、ひたすら走り続けるのだが、
右は断崖絶壁の海、左は切り立つ山、それに加えて雪嵐。
強い海風だけで、車はひっくり返りそうなのに、
暗くて、何も見えない・・・。
突然、思い出したように断崖の上に教会が建っている。
クノップフの「見捨てられた街」の絵を思い出す。
大きな空と海の間に、孤絶を体現するように建っている。
道には30m間隔くらいで、照明があるのだが、
本当に目印はそれだけ。
フレドリク・フレドリクソン監督の
「春にして君を想う」のラストの、主人公の老人が
死の門に向かって上っていくシーンを思い出す。
目の前は雪の嵐で、山から海へと吹く強い風に
雪が煙のように舞っている様子は、
まさにこの世の果てに来たかのよう。
ミヴァトンを朝9時に出発してから、車の故障という
トラブルもあり、ウェストフィヨルドの小さな街、
ホルミャビックの友人宅に着いたのは、夜の11時。
こうしてミヴァトンとそこからの道のりの仮死体験を経て、
ようやく目的のサーモンにたどり着いたのだが・・・
原稿量も限界に近づいてきたので、味はご想像にお任せする。
(今回で岩坪さんの旅行記は最終回!ご愛読ありがとうございました)