アイスランドへ旅した岩坪文生(ふみお)さんの
コラムを連載しています。

アイスランド グルメと仮死の旅 第4回

そんな料理と温かい雰囲気に囲まれながら、
アイスランド人と、言葉の話題になった。

「日本のある小説家が、日本語はいずれ
ほろびるのではないか、という本を書いたんだよ」

「日本語がほろびる?」

「例えばの話だよ。でも、アイスランド語も
同じような危機にあるのではないかな?
みんなこれだけ流暢に英語が話せたら、
アイスランド語は忘れられちゃうんじゃない?」

「確かにそういう危機はあるよ。
けれどぼくらはわざと学校の授業や普段の生活で
アイスランド語を使うように、努力しているんだ。
子孫にアイスランド語を忘れてほしくないからね」

「ふーん、アイスランド語は好き?」

「うん、好きだよ」

「アイスランド語のどんなところが好きなの?」

「うーん、いい質問だね、
発音がとても強く、特徴的なところかな」

確かに、アイスランド語の発音はとても強い。
日本人からしたら、みんな怒っているように聞こえる。

アイスランド語が堪能な知り合いの女性も、
アイスランド語で話すと、性格がきつくなると
言っていたのを思い出した。




スリースラッカンの料理やお店から私が感じたのは、
尊敬すべき田舎の清貧さの伝統と、
頑固ともいえる意思の強さだった。

(次回は、レイキャビックのナイトライフとラム肉のホットドッグ。)