アイスランドへ旅した岩坪文生(ふみお)さんの
コラムを連載しています。

アイスランド グルメと仮死の旅 第3回

レイキャビックには4日程滞在した。

今回の旅のテーマは、極北のグルメということで、
美味三昧をつくさせてもらったが、最も印象に残った料理は
「パフィン」と「ラム肉のホットドック」だ。

「パフィン」は、 スリースラッカンという、
アイスランド郷土料理の有名店でいただいた。
スリースラッカンとは、「3枚のオーバーコート」
という意味らしい。何となくロシア文学的だ。




店のつくりは素朴かつどっしりとしていて、
木目調のテーブル、椅子、調度品は温かく、
家庭的な雰囲気で、伝統を感じさせる。
20席ほどのこじんまりとしたお店の中は静かで、
ゆったりとした空気が流れている。

連れていってくれた友人が、
前菜に「パフィンの燻製」を頼んだ。
私はくじらの刺身を頼んだのだが(わさび醤油で食べた)、

少しパフィンを分けてもらった。
パフィンは、学名ツノメドリといわれる、
可愛い顔をしたペンギンみたいな。




こんな可愛い鳥を食べるんだから、アイスランドには
よっぽど食べるものがないんだろうなー、と思った。

しかし!
その驚くべき歯ごたえと、豊かな味わい!
バルサミコをベースにしたソースも抜群!
そして喉を通ったあとに、口の中にほのかに薫る苦味。
野趣あふれる一皿だった。

日本からはるか遠く離れた北国で、見たこともない
変な顔の鳥を食べて、さらに美味しいと感じるなんて、
これほど感激することはない。

(次回は、アイスランド語について。)