あらゆる成功への二元論を終わらせる身もふたもない真実とは?(「GRIT やり抜く力」を読んで)

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

2016年も順調に暮れゆき、またブログの更新頻度について悲しく思いを馳せる季節がやってまいりました。

さて、2016年のベストセラーとなっているのが「GRIT やり抜く力」です。この本を読んで、私もこれは最高!と思いました。とても面白かったのです。

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
アンジェラ・ダックワース
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 32

しかし、本書の書評を書こうと思って、参考までにインターネットで書かれている書評を調べてみたものの、あまりピンと来るものはありませんでした。

そして私も、「何を書いたらいいやら?」という気持ちになってしまいました。

なぜか?

なぜなら、この本に書いてあるのは、驚くべき発見ではなく、潜在的に私たちが知っていた「身もふたもない真実」だったからです。

成功に必要な要素はたった一つだけ

この本に書いてある結論はシンプルです。

成功のために必要なのは「GRIT」である。以上。

「GRIT」とは「目標に向かって、困難にあってもあきらめずに最後までやり抜く力」と定義されていますが、これを聞けば、まあ、そりゃ成功するわナ。という感じですよね。

そう。この本は、この「すでに知ってた」身もふたもない真実を、科学的にこれでもかと論証していく本なのです。

そして、読み進めるうち、「GRIT」を鍛えてこなかった怠惰な人生を歩んできた人は、我が人生を省みて猛反省し、逆に、GRITを着々と発揮して目標に向けて努力をしている人は、自信を深めるのです。

だから、この本は評しにくい。

どちらの立場からも「わかっていました」という感想しか出てこないからです。感想を書く暇があったら、目標を立ててさっさと努力しようぜ、という気持ちになります・・・。

「GRIT」は成功にまつわる二元論を終わらせる

そもそも、この本によって、成功するためには必要なのは「GRIT」である、と結論が出てしまったわけです。

つまり、この本の前にあった、成功にまつわる、以下のようなよくある二元論は意味をなさなくなってしまいましたのです。

  • 成功に必要なのは才能か努力か?
  • 子育ては厳しくするべきか寛容であるべきか?
  • 一流アスリートにとって練習は辛いものか、楽しいものか?

本書の結論はシンプルです。「どっちも大事」。以上です。ありがとうございました。

本書には、上記の結論に至った納得のいく論証が、具体例も含めてたっぷり載っています。

成功に必要なのは才能か?努力か?

「GRIT」が終わらせた二項対立の一つで、未だに強迫観念的に言われている言説として、成功のために必要なのは「才能」?それとも「努力」?というものがあります。

特に「才能」に対する信仰は根強く、才能が「神に与えられたもの」と表現されるように、そもそも才能がなければ成功できない、と思っている人は多いでしょう。

そんな「才能」という圧倒的なものに対して、才能を持たぬものが「努力」で対抗できるのか?という二項対立があると思います。

しかし、そんな二項対立もこの本以降はお終いです。なぜなら、そう「どっちも大事」だからです。

本書では、才能とは「努力によってスキルが上達する速さのこと」と表現されています(この点で、この本の「才能」の定義は、「ストレングスファインダー」で言われる才能の定義とほぼ同じです)。

しかし才能「だけ」では意味がなく、ものごとの上達と目標達成のためには、努力の継続が必要と書かれています。

「才能」すなわち「スキルが上達する速さ」は、まちがいなく重要だ。しかし両方の式を見ればわかるとおり、「努力」はひとつではなくふたつ入っている。

(略)

私の計算がほぼ正しければ、才能が人の2倍あっても人の半分しか努力しない人は、たとえスキルの面では互角であろうと、長期間の成果を比較した場合には、努力家タイプの人に圧倒的な差をつけられてしまうだろう。

本書では「才能」と「努力」の関係性について、定義してくれますが、つまり、どっちも大事だし、重要なのは「目標に向かってやり抜く力」なのです。そりゃあね。

身もふたもない真実。それでも「GRIT」を読むのが面白い理由

それでも、本書を読んで私は「面白い!」と興奮しましたし、この本にかかれているのが「身もふたもない真実」であったとしても、本書を読む価値はあると思うのです。

なぜなら、私のごとき凡人であったとしても、努力次第で成功できる(かもしれない)という希望が湧いてくるからです。そして、具体的な努力の方法も書かれています。

「やり抜く力」を発揮するために、この本で特に強調されているのが、「目的意識の重要性」です。情熱を持てるような、自分にとって重要な目的を持つこと。

「やり抜く力」の鉄人たちも、目標をあきらめることはある。ただし、重要度の高い目標ならば、歯を食いしばってでも、最後までやり遂げようとする。 いちばん重要なことは、「やり抜く力」の鉄人たちは「コンパス」を替えないことだ。彼らにはたったひとつの究極の目標があり、ほぼすべての行動がその目標達成に向けられている。

そして、何よりも日々の「意図的な練習」です。(意図的な練習の項目では、名著「習得への情熱
」を思い出しました。)「やり抜く力」の強い人たちは、自分自身に高い目標を設定し、それに向けて努力をし続けます。

明確に定義されたストレッチ目標 ・完全な集中と努力 ・すみやかで有益なフィードバック ・たゆまぬ反省と改良

ことほどさように、成功というのは一朝一夕に達成できるものではないようです。才能がある人でも、ない人にとっても、成功は簡単ではないし、時には才能があってもどうにもならない局面がでてきます。

それでも、目標に向かって努力するプロセスそのものを楽しみにさえできれば、人生はもっと面白くなりそうな予感がします。「GRIT やり抜く力」は、そんな希望を、きちんと根拠を持って保証してくれる本なのです。

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