ミッドライフ・クライシスをテーマにした映画「47歳人生のステータス」を観た

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

先日、Amazonプライムをはじめ、各種の配信プラットフォームで配信公開されている映画「47歳 人生のステータス」を観ました。

というのが、この映画がミッドライフ・クライシスをテーマにしていたからです。このブログではすでに2回、ミッドライフ・クライシスをテーマにしたエントリーを書いていますが、やはり自分はまだまだ年齢や自分の人生について気にしているのでしょう。

人生に悩む47歳の男性が主人公

ブラッド(ベン・スティラー)は、優しい妻のメラニー(ジェナ・フィッシャー)と、⾳楽の才能がある息⼦のトロイ(オースティン・エイブラムス)とサクラメント郊外で穏やかな⽣活を送っている。仕事も順調だ。とはいえ、やる気と希望に満ち溢れた⼤学⽣時代に思い描いていた未来図とは何か違う。そんな中、ブラッドはトロイの⼤学受験の準備で、親⼦2⼈でボストンの⼤学を巡ることに。トロイを案内している間も、頭に浮かぶのは⼤学時代の4⼈の親友たちと⾃分の⼈⽣の⽐較ばかり。
引用元

この映画は、47歳の男性が主人公です。彼は、大学時代の友人が成功者としてテレビに出演しているのを観て、一時の嫉妬ではない、鋭い心の痛みを感じます。

彼は思います。「彼らにとっては人生は戦場ではなく、遊び場なのだ」と。そして同時に「自分は人生の負け犬だ」と思うのです。

あまりにも地味なドラマ。しかし共感度が高い

この映画は配信公開となったとおり、ドラマとしてはかなり地味で、派手なクライマックスも、「泣ける」感動も用意されていません。

しかし、今まさに自分の人生に疑問をいだき、悩みの渦中にある人(私のような)にとっては、まさに「わかる!」の連続でした。観ているうちに、自分の中で内省が起こり、最後には何かが癒やされるような、そんな感覚がありました。良質な映画だったと思います。

主人公が映画の最後にどんな結論に至るのか。決して長い映画ではないので、気軽に見届けてもらいたいと思います。

人生は誰にとっても「不確実」なもの

それにしても、現実にも「成功者」とされる人たちはいますが、その人たちはミッドライフ・クライシスとは、無縁なのでしょうか?ツライのは自分だけなのでしょうか?

映画の中でも、少しばかりそうした気持ちをくすぐる場面があります。成功し、何もかも順風満帆だと思っていた友人が、実は・・・というシーンです。

また、主人公が息子の友人である若い女性に「あなたは自分のことしか見えていない」と指摘される下りもあります。

どちらのシーンも、観ている人に対して内省をうながしてきます。

自分の苦しみだけにフォーカスして、他者に対する想像力が失われているんじゃないか?「ツライのは自分だけ」と思い上がっているんじゃないか?

うらやましがり、嫉妬していた相手が、つらい状況に陥ったときに、自分は思いやりの心をもてるだろうか?内心「ざまあみろ」と喜んでしまうんじゃないか?

人生には決まった正解なんてないし、他者から見てその人がいくら成功しているからと言って、その人がどんな苦しみを抱いているかなどということは、実際のところはわからない。

「誰にとっても人生は不確実なもの」

そんな当然のことが、自分の苦しみにフォーカスしすぎると、わからなくなってしまうのではないでしょうか。

恥ずかしくない人でありたい

映画を観て思ったのが、やはり「他人のことを思いやれる人でありたい」ということです。

いくら世間的に成功していても、していなくても、自分のことばかりを考えるような偏狭な人間では、恥ずかしい。願わくば、友人の不幸を喜ぶような人間にはなりたくない、ならないようにしよう、と私は思いました。

「他人を思いやる」。これは、心がけとしては簡単に見えますが、実際に実践しようとすると、年齢を重ねるごとに、難しくなってきます。

現在の私は、心の広さが猫の額ほどの心の狭い人間です。願わくば、もう少しだけ、恥ずかしくない人間になれるように努力したいものです。

「正解がないこと」に慣れる

あらかじめいうと、この映画において「人生の意味」とか「救い」のようなものが示されることはありません。主人公が、「暫定的な結論」にいたり、自分自身で納得する、というところまでです。

このラストも非常にリアルで、人生との折り合いはやはりこういうふうにつけ続けていくのかもしれない、と思わせるものでした。

人生には「正解」というものはきっとありません。それなのに、経験を重ねてくると、なぜか、未来が決まりきってしまった気がしたり、これまでの自分の人生が「失敗」だったような気がしてくるのです。

ミッドライフ・クライシスに陥っている私に必要なのは、人生に折り合いをつけ続けること、そして「正解なんてものはない」という、しごく当たり前、しかしとても不安定なことに、あらためて慣れ、耐えていくこと、そんな訓練なのかもしれません。

オンラインでさくっと観られるのでおすすめです!

-世界の片隅から(よもやま話)