面接における内向型の武器は、喋りより「質問」
2016/05/18
こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。
6月からいよいよ企業の採用活動が解禁となります。憂うつな気持ちになっている人は多いかもしれませんが、中でも私のように「自己アピール」が苦手な「内向型」の人たちは、特に憂うつかもしれません。
今回のエントリーは、特に内向型の人に向けた、面接においては「喋り」だけではなく、「質問」も武器になりますよ、という提案です。
就職活動は誰にとってもユーウツ
就職活動は、内向型、外向型、誰にとってもユーウツなものです。
私が就職活動をしたのは2003年でした。氷河期の真っ最中だったと思います。「働きたくねえ・・・」と思いながらわけもわからずスタートし、100社近くも受けたのですが、周囲が次々と内定を獲得する中、ようやく内定をいただけたのが1社でした。
もちろん、就職活動は内定取りゲームではないですし、その時点で人生における何かが決定的に決まるわけではありませんが、落ちる度に凹むのはいかんともしがたかったです・・・。
100社近く落ち続けた要因はいろいろあるのでしょうが、私は喋るのが苦手で、自己アピールが苦手でした。人見知りでした。知らない人と喋るのが本当にストレスでした。それがいけないのだと思っていました。
大前提として、喋りが苦手なことは全く悪いことではありません。人間として劣っているとか、社会人としてどうか、とか、全く関係ありません。それは大前提として、理解していただきたいと思います。
その上で、喋りが苦手だという意識があるせいで、当時の私のように気持ちがしんどくなりそうな人に向けてお話しますと、喋りだけが面接における武器ではありません。喋りが苦手な人の武器になりうるのが「質問」です。
「質問」は内向型の武器
内向型のバイブルの一つ「内向型人間の秘めたる影響力」には、積極的に外に働きかけることが苦手な内向型が、無理をせずにどのように影響力を発揮していくかが書かれています。
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そのなかで述べられているのが「聴く力」です。
内向型は人の話を「深く聴く」というところから、相手への理解や共感を得ようとします。
情報を摂取し物事の本質を見極める基本的な手法である、聴くという行為。その力を伸ばしていくことで、「他の人は何を考え、どう感じているのか?」「話の脈絡はどうなっているのか?」、時には「何が足りないのか?」といったことまでがわかってくるようになります。
(「内向型人間の秘めたる影響力」)
この「聴く力」を十分に発揮する手段としての「質問」があります。
聴く場へ臨むに際しては、いくつかの質問を携えていきましょう。ミーティング、プレゼンテーション、対話などをする前、内向型人間たちの多くはいくつかの質問を準備しておきます。
(略)
質問をすることで、会話の流れ全体に影響を与えていくこともできます。 真剣に耳を傾けながら、的を射た質問を挟んでいくことが新たな発見を模索するきっかけとなることを、ジェーンは数々のグループ・ミーティングの中で体感してきました。
(「内向型人間の秘めたる影響力」)
「質問」をすることで、相手の意見を引き出すことができ、その意見に耳を傾け、それによって得られた洞察を述べることができます。端的にいって、良い質問がある会話は、満足度が高いのです。
面接においても「質問」は有効か?
とはいえ、面接は相手とじっくり話す場ではありません。どちらかというと、短い時間でこちらが相手の質問に答える、という場になります。
しかしながら、一対一の面接のときに、面接してくれる人が「おっ」と思う質問を投げると、面接をしてくれる人が、気持よく話してくれるような場面になります。
こうした会話の満足度の高さは、相手への好印象となります。プッシュ型の「自己アピール」に励まなくても、十分に自分の関心や知性のアピールにつながってくると思います。
「良い質問」のためには準備が必要
相手が「おっ」と思う質問をするためには、当然ながら準備が必要です。
時間が許せば、面接前に下調べをし、質問をいくつか挙げていきましょう。働き始めてからも何かしら役に立つので、練習だと思って試してみてください。
質問を組み立てるにあたっては、その会社の「事業」に関する部分に的を絞って調べていくことをおすすめします。
事業とは、その会社が、「何を」「だれに」売っているのか?ということで、企業活動そのものです。ですから、会社を理解するためには、「事業」を理解するのが手っ取り早いと思います。
まず、その会社の事業内容を調べます。会社のWebサイトを見てみましょう。その会社の「事業」とか「サービス」とか「商品」とかが載っています。Webサイトには情報が充分でない場合がありますから、「四季報」等にも目を通しておくいいかもです。
そこで、以下の「3C」をなんとなく書き出してみましょう。「3C」とは、マーケティング分析に用いられるフレームワークで、以下を指します。
C:カスタマー:お客=誰に商品を売っているのか?
C:カンパニー:自社=会社の強みは何か?
C:コンペティター:競合=ライバルはどこか?
これらをざっくりと書いてみたり、さっと調べることで、その会社が戦っている市場=土俵がなんなのか、イメージが湧かせるのが目的です。
3Cを書き出して、その会社が戦っている「土俵」を大体つかんだら、質問を組み立てていきます。会社の事業の今後の戦略についての質問でもいいですし、学校で学んできたことと事業の親和性について質問してもいいですし、競合との差別化について気づいた点について質問してもいいと思います。
面接をしてくれる人の立場によって、適切な質問レベルはあると思いますが(2〜3年目の人に事業の大局観を聞くのはちょっと違う、など)、いずれにしても、下調べをしていくと、相手の話も理解できますし、そこからさらなる質問につなげていくこともできそうです。
まとめ
私は面接が苦手です。
「自己アピールをしてください」とか、グループ面接で「ではひとりずつ自己紹介をお願いします」といわれて、私の番になると明らかに面接官のやる気が失せている、というケースはザラでした。
このエントリーは面接対策集ではないので、そういう場面場面でのテクニックは他に譲りますが、内向型の人が抱く「なんか、この会社のノリと合わないな・・・」という直感は割と正しいので、自分の意に沿わない面接をする会社は、相性が悪かったのだと思い切るのも大切かと思います。
また、繰り返しますが、会社に選ばれるのではなく、自分も会社を選んでいるのだ、ということを忘れないようにしてください。質問をすることは、能動的にその会社の情報を取りに行くことでもあるのです。
いずれにせよ、就職活動は過ぎていく人生の一場面に過ぎません。できるだけ気楽に構えて、深刻に考えず、心を壊さないようにしていただきたいと思います。