王様(ときに暴君)である<感情>とどう付き合うかが「仕事の成功を決める」と思った2冊
2017/05/02
こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。
忙しさにかまけ、またもや更新が滞っていますが、3月〜4月にかけて読んだ本が全部面白くて、本当に感動しています。
中でも、ある2冊の本を読んで、たまたま「感情」について書いてあるという共通点があり、「感情はやっぱり王様なんだ」と思った、というエントリーを書きます。
読んだ本1冊目「仕事はうかつに始めるな」
このエントリーをかくきっかけになった1冊目は、石川善樹さんの著書「仕事はうかつに始めるな」です。
cakesに連載していたときから、面白く読んでいたので買いました。この本の主題は、「どうしたら集中して物事に取り組むことができるようになるか?」です。
集中を妨げられるものに囲まれた現代人は、調査によると、連続して集中できる時間がわずか8秒!!と極端に短くなっているそうです。それと反比例するように、集中を求められる仕事量が増えている・・・。集中できる時間を長くすることは、仕事の質を上げるばかりか、人生の質にまで関わってくる、と石川さんはいいます。この本にはそんな「集中力マネジメント」の具体的な方法論が、ここぞ!と書いてあるのです。
「フロー」に入るための2ステップ、「フロー」に入り続ける方法論。特に「小さな目標を立て続ける」という項目は、昨年ベストセラーとなった「やり抜く力」の、具体的なサブテキストとしても読めるのではないでしょうか。
そして、この本には、こんなことが書いてあります。
よくわたしは「感情は王様、理性は家来」とたとえます。というのも、脳内で絶対的な権限を持たされているのが、「感情」という王様だからです。どれだけ家来である「理性」が小賢しいことを進言してこようとも、「うるさい!」と抑えつけてしまうのが「感情」なのです。
そう。集中を妨げる原因は自分の中にもあって、それこそが「感情」なのです。感情はわがままな王様ですが、それを無視しては物事が進まないのです。集中力マネジメントは、感情マネジメントの側面も含むのです。
そしてこの本に繰り返し書かれていることは、「自分に期待をするな」「自分を信用するな」です。つまり、意志や根性によるセルフコントロールには限界があるということです。だから、外側から自分を動かすための「仕掛け」が必要ということなのです。
考えてみると、巷にあふれる(ざっくりいうと)「自己啓発」や「ビジネス」本は、そのほとんどが「いかに感情に行動の邪魔をさせないか」というノウハウの集積であることに気が付きますね。
読んだ本2冊目「マネジャーの最も大切な仕事ーー95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力」
また、もう一冊読んだベストセラー本が「マネジャーの最も大切な仕事ーー95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力」です。
この本もやばいくらい面白かったです。寝食忘れて読みふけりました。
この本は、「社員の生産性が高くなる職場とはどういうものなのか?」「社員がイキイキと働いている会社と、そうでない会社の違いは何か?」について、まとめられた本なのですが、キーワードが「インナーワークライフ(個人的職務体験)」というものです。
「インナーワークライフ」とは、認識と感情とモチベーションの相互作用、という表現をされていますが、要するに、日々あなたが職場から受けている「印象」のことですが、「インナーワークライフ」がポジティブであることが、仕事のパフォーマンス、ひいては組織の生産性を左右するというのです。
私たちは前出の創造性と感情についてと同様の方法で、感情から生産性を予測する調査を行った。(略)感情がポジティブであるほど生産性は高まり、感情がネガティブであるほど生産性は低下していた。
ここでも、重要なのが「感情」です。感情の起伏が仕事のパフォーマンスを左右するのです。だから、いかに社員にポジティブでいてもらうかが、会社の死活問題であるわけです。ここでも、やっぱり感情は「王様」といえます。
本書の後半には、インナーワークライフをポジティブに保つためには、何の要素が何が必要なのかが書いてあり、めちゃくちゃ参考になります。明日からさっそく試したくなるし、その観点で職場を見ると、発見がたくさんあるはずです。
現在、マネジャーの端くれ(下っ端/見習い)である私は、人の「インナーワークライフ」をマネジメントする立場にあることを思い、気が引き締まる思いです。がんばるんば!
まとめ
うっかりすると、感情って、軽視されがちです。「感情に溺れるな」とか「そんなの単なる感情論だろ」といった具合に。しかし、感情を無視したところで、うまくいかないでしょう。それどころか、感情を軽視することで、しっぺ返しをくらうかもしれない。
感情に振り回されるのは困りものですが、「王様」である感情を無視する訳にはいきません。感情とは、うまく付き合わなくてはいけないし、「暴君」である場合にはなおさらです。
巷にあふれる「セルフコントロール」の方法を整理すると、
1.自分でマネジメントする(マインドフルネスや認知行動療法)
2.環境から変える(組織マネジメント)
3.回復を早くする(レジリエンスや立て直す力)
と、いろいろありそうです。
仕事にしろ、プライベートにしろ、なんにせよ、人の生きる上での難題というのは、結局「感情というものとどう付き合っていくか?」という問いに収斂していくのかもしれません。
私も割と感情はマイナス方面に暴君であるため、今後はヤトミックカフェでも、感情マネジメントのための方法論を整理して書いていきたいと思います。よろしければ今後も読んでみてください。