要領のイマイチよくない僕たちはどうするか?|書評「世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書」
こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。
世の中にはサザエさんにおける磯野カツオ的とでもいいましょうか、無責任シリーズの植木等的とでもいいましょうか、要領よく世の中を渡る人々が存在いたします。
彼らは一種のヒーローなので、そうそうにはいないかもしれませんが、「面倒くさい」という気持ちをポジティブなアウトプットにつなげることに、私は憧れがあります。
などという話をしているのは、デイリーポータルZの編集者・林雄司さんの著書「世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書」を読んだからなのです。
扶桑社
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この本には何が書かれているか?
この本には、「ラクして」「要領よく」仕事をするためのメソッドが書かれていると歌われています。事実、紹介文にもこんなふうに書かれています。
・なるべくラクして仕事したい!
・プレゼンを適当に乗り切りたい!
・催促するのは気が重い!
・ネットで炎上したくない!
⇒そんなすべての会社員におくる77の裏技メソッド!
(Amazonの紹介より)
一見、「お、いいぞ。俺も働くの嫌いだし」と思う。でも、読むと、ぜんぜんそんなではないです!ナメてはいけません!「ラクする」とは、手を抜くことでは全然ないのです。
むしろ、いかに「今のやり方でない別のやり方を発明するか」という要領のいいクリエイティブを問われているのです!!
こんな記述も。
根っこにあるのは、「なるべく働きたくない」という気持ちである。 具体的に言うと、早起きしたくない。いま実は
会社に行くのが昼すぎである。その分明け方まで働いている日もあればよく寝てる日もある。 この働き方を維持し、いかに努力しないで済ますか、ということに関しては、普通の人より工夫してきたつもりだ。
そう。工夫です。工夫が求められているのです。
私はたじろぎます。そして、コンプレックスをビンビンに刺激されます。だって、私は要領が悪いから!!!
なぜ私は要領の悪い働き方しかできないのか?
何を隠そう「面倒くさい」という気持ちを「効率のよい」やり方に転換できない。要領のいいやり方が出来ない。それが私のコンプレックスです。
「なにクソ真面目にやってんの!こうすれば早いじゃん!!」と、「お前、オルタナティブウェイを見つけろよ」的な注意を何度受けたことか。
ダメなのです。クソ真面目にやってしまうのです。例えば、Excelで一行ずつコピーして、テキストを確認して・・・(というようなことはさすがにマクロを組めよと思いますが)そんなようなことを、クソ真面目に、丁寧に、一つ一つ時間をかけて、やってしまうのです。
いったいなぜ、私はこんな要領の悪いことしかできないのでしょうか?クソ真面目に理由を考えてみると
理由1:時間をかけたほうがエラいと思っている
はい。バカです。要するに「手っ取り早く」とか「要領よく」などという単語に、罪悪感を抱いてしまっているフシがあります。ほとんど強迫観念的に。
「面倒くさい」と思っても、面倒くさがらずに真面目にやる俺、エラいだろ?と。全然偉くありません。絶望的です。
このような「思考の枷(かせ)」が、ポジティブなアウトプットを妨げているんだと思います。
理由2:今の仕事のやり方で満足している
はいはいはい!バカです!!いま自分が知っているやり方の他に、別のやりかたを探そうともしていない。単純作業は考えなくてもできるので楽ですが、そんなことを続けていたらそのうち脳が腐ります。
性格は変えられないが、アウトプットのやり方は変えられるハズ!!
しかし、磯野カツオのようになろう、植木等のようになろう、林雄司さんのようになろう、などと思うとハードルが高いのも事実。というか、無理でしょう。
彼らの要領の良さの根底には、ちゃっかりとか、テヘヘとか、怒られてもめげないとか、「なんか世の大人をナメている」的な、ある種の「デフォルトでカッコイイ」姿勢があるのです。
クソ真面目が脳の信管をズドンと貫いているツマランチン人のごとき私には、とてもとても真似できるものではございません。
なので、
- 効率よくアウトプットを出す
- アイデア(オルタナティブウェイ)を考えだす
という結果だけを、擬似的に我が物にできないか、クソ真面目に作戦を考えてみました。
作戦その1:スピードを何よりも重視する
期間限定、ある仕事から始めてみてもいいかもしれないですが、実験的に「スピードが第一」というルールを決めてみます。品質よりも、いかに早く出すかが大事なのだと決めてみるのです。
まず制限時間を決めてみる。具体的には、今まで自分が見積もってきた作業時間の半分で提出する、と決めます。
しかしながら、単純に作業のスピードを早くしていくだけでは、自ずと限界があると予想されます。そこで、他のやり方がないか、試してみる必要にかられる!そこが狙い目です。
ただし他のやり方がないかを考えるのに時間を取られては本末転倒。そんなときこそ、「ゼロ秒思考」です。
1枚1分でおなじみのゼロ秒思考メモは、超短時間であっても、アウトプットが可能であることを教えてくれました。
ここで、「時間をかけなければ」という枷をひとつ、強制的に外しましょう。
作戦その2:定石の方法は使わない
「このやり方しかない」と思い込むあまり、他のやり方に気づかないこともしばしばではないでしょうか。
「もっと他にないのか?」と頭をひねるとき、初めてアイデアの必要性が生まれます。
なので、「いつものやり方でやろう」と思う、その定石の方法を使用禁止にします。
ある作業をするとき、AとBという定石のやり方があるとして、AかBか?で悩むのではなく、Cというまったく新しいやり方(=オルタナティブウェイ)を見つけ出せば、しめたものです。
1から100までを足しなさい、という宿題を出されて、正直に1つ1つ足していたクラスメイトに対して、まったく違う方法を考えだして、一瞬で答えを導いたのが、かの数学者・ガウスです。
そこにシビれる。あこがれる。
しかし、効率よくアイデアを生み出す秘訣は何なのでしょうか。林雄司さんも、著書の中でこのようにおっしゃっています。
サイトを始めたときにはいろいろやってみたいことはたくさんあった。(略)やりたいことは尽きないと思っていたらあっさり1年で尽きてしまった。
しまった、もうやることがない。(略)
そのとき気づいたのは、アイデアは考えないと出てこないということだ。 「降りてくる」なんてことはまず、ない。
デビュー前に作っておいた曲がなくなってしまったバンド状態だが、それから今にいたるまでひーひー言いながらひねり出している。
そう。アイデアはひねり出すしかないのです。その点では、天才も凡人も平等です。勇気が出てきます(出てきたアウトプットの質は雲泥の差でしょうが)。前述の林雄司さんの著書には、アイデアをひねり出すための工夫も多数載っているので、興味のある方は読んでみてください。
まとめ
仕事というのは、今まで「時間をかければかけた分だけ良い」とされてきました。それは、画一的な工業製品を大量に生み出す時の価値観です。今でも、時間は労働を測るものさしとして残っていますが、今では、そのものさしでは測れない仕事ばかりです。
かくいう私も、時間的な物差しではぜんぜん価値を測れない仕事(Webディレクター)に就いていますが、そのことが身にしみていませんでした。私の仕事の価値は、アウトプットが全て、なのにもかかわらず。
大事なのは、常にアイデア、オルタナティブウェイを探し続けることでしょう。ありきたりの方法、当たり前の答えではなく、別の何か。あなたでしか出し得なかったオルタナティブウェイ。それは仕事をする上での「価値」になるだろうことは想像に難くないでしょう(もちろん仕事の本質とずれていては 意味がなくなりますが)。
「面倒くさい」を起点にして、新たな価値が生み出せれば、素晴らしいことです。近年ではアプリのヒントは「面倒くさい」にある、なんて言われてますしね。
さあ、肩の力を抜いて。時には怒られちまうような珍妙なアイデアで、ブレイクスルーでもしてみたいよなあ!!!なあ兄弟よ(誰だ?)。
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