内向型が生まれながらの「聴き上手」というのは半分ウソである

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

内向型と呼ばれる資質について、いろいろな本を読んでいますと、よく出くわすのが「内向型は生まれながらの聴き上手だ」という表現です。

でも、それって本当でしょうか?典型的な内向型である自分を顧みても疑問です。

自分から喋るのが得意でないから?
人の話を聞いているほうが楽だから?

でも、それって、イコール「聴き上手」ということなのでしょうか?

今回は、書籍「内向型人間がもつ秘めたる影響力
」を元にして、「聴き上手とは何か?」について考えたいと思います。



Listen my friend, everything is gonna be alright :)
Listen my friend, everything is gonna be alright 🙂 / NJ..

「聴き上手」とは何か?

「内向型人間の秘めたる影響力」では、内向型の人が周囲に働きかけていく力の一つとして「聴く力」が挙げられ、「聴く力」を開発するヒントとして以下の4つを紹介しています。すなわち

  • 適切な状況の創出
  • 共鳴板としての存在
  • 質問の投げかけ
  • 言葉に潜むものを読む

です。ひとつひとつ見ていきましょう。

適切な状況の創出

話を聴くときには、ふさわしい環境をセッティングする必要があると説いています。

「人の話を聞くときは十分な時間を確保すること」

「リラックスできる環境を用意すること」

「フェイス・トゥ・フェイスで」

など。理由はカンタンで、内向型の人は、慌ただしい環境だと頭が働かないのです。

共鳴板としての存在

相手に「聴かれている」という実感を持ってもらうために、聴き手は工夫をしなくてはいけません。「聴かれている」という実感を持ってもらうことで、話し手は自分から問題解決の糸口をつかむことができます。聴くことで相手の背中を押してあげること。まさに「聴く力」の本領発揮と言えるでしょう。

まず「黙って聴く」こと。

助言を与えたり、話の途中に口を挟んだりすることは他の人たちに任せて(たとえ思わず口を入れたくなっても)ただ黙って、耳を傾けているだけにして下さい。そうした態度から相手は、「聴かれている」との実感を抱いていくようになります。「聴かれている」と感じることで、話し手は考えや感情をまとめることが可能となり、そうして、問題の核心がよりはっきりと見えてくると、自ずと次に取るべきステップがわかってくるものです。
(「内向型人間がもつ秘めたる影響力」)

次に「相手の話したことを自分の言葉で反復する」ということがあります。

耳を傾けながら話の内容についてじっくりと考えてみて下さい。気を付けて頂きたいのは「自分自身の言葉で」ということです。
(略)
自分の言葉に置き換えるあと一つの効能は、相手がより深く理解されていると感じてくれ、共感に形が備わるということです。
(「内向型人間がもつ秘めたる影響力」)

質問の投げかけ

「話を聴く」ということの中には、その対話が意義のあるものになるように注意深くコントロールする、ということも含まれます。その手段の一つが「適切な質問」です。

「事前に質問を用意しておく」「会話の中で的を射た質問をする」といったことを繰り出すことで、会話から新たな発見をすることができたりします。

聴く場へ臨むに際しては、いくつかの質問を携えていきましょう。ミーティング、プレゼンテーション、対話などをする前、内向型人間たちの多くはいくつかの質問を準備しておきます。

(略)

質問をすることで、会話の流れ全体に影響を与えていくこともできます。 真剣に耳を傾けながら、的を射た質問を挟んでいくことが新たな発見を模索するきっかけとなることを、ジェーンは数々のグループ・ミーティングの中で体感してきました。

(「内向型人間がもつ秘めたる影響力」)

言葉に潜むものを読む

言葉だけとらわれるのではなく、耳だけを使うのではなく、話し手をじっと観察するように心がけよう、と本書は説きます。

目、表情、ボディランゲージ・・・相手の話す内容と、相手が言葉外から発するメッセージが食い違う場合は、その点を質問してみましょう。相手が何を障害だと思っているか?について発見があるはずです。

「聴く力」とは能動的な行為の産物なのだ

意志をもって相手の話を聴き、聴きながら頭をフル回転させ、話をまとめ、自分の言葉に置き換えて話し、聴きながら相手を観察し、適切な質問を考え、適切なタイミングで投げかける・・・。

「聴く力」について書いてきましたが、言われてみればどれも、確かに聴き上手の人がやっていることだな、と思いあたるのではないでしょうか。

同時に、漫然と受け身で聴いていたのではこれらは実現できない、とわかったかと思います。「聴き上手」とは、はっきりと能動的な行為の産物なのです。ですから内向型が生まれながらの聴き上手・・・なんていうのは嘘で、「聴き上手」になるためには意識的にトレーニングする必要があるのです。

それでも内向型は聞き上手の素質があるはず

「聴き上手」とは能動的な行為と書きましたが、身につけるのは意外と難しいのです。なぜかというと、それはテクニックと気質のブレンドだからです。

「聴く」ためのテクニックはトレーニングの必要性はありつつ、トレーニングのためのモチベーションは気質の特長から始まるのだと思います。

聴くより話すのが好き、という人には、例えばテクニックとしても聴く力をトレーニングするモチベーションは湧かないでしょう。

内向型の人は、話すより聴くほうが好き、楽だ、という自覚がある人が少なくないと思いますが、まずそういうベクトルがあって初めて、「聴き上手」に向けてトレーニングをする端緒が得られるのではないかと思います。

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