第6回:「お約束」が映画である
仲尾 |
ひとつ質問なんだけど どうして怪獣の首が飛ぶと、大爆発するんですか。 |
矢透 |
あれは、そういうお約束なんですよ。 |
仲尾 |
そうでしょ。そういうところに興味があるんだ。 あるところは 「そういうもんだ」で通すのに あるところでは、事実に即してきっちり作るでしょ。 その境目は何なんだ、ていう。 |
矢透 |
全部リアルでもダメ、全部ファンタジーでもだめ、 そのブレンド具合が映画の妙味というか。 |
仲尾 |
そういうところは他にもあって 例えば、ものすごい小さいナイフで刺しただけで 刺された方は、苦しみもせず死んでしまう。 かと思えば、いつまで経っても死なないで 刺された箇所を押さえて這ってくる、という 両方のパターンがあって、 それは演出次第だっていうのが、笑っちゃう。 |
矢透 |
主人公の側の人は、いつまでも死なないとか。 |
仲尾 |
そうそう、ルパンなんかでもあるけど 次元が撃つと、どうでもいい雑魚はすぐ死ぬけど ルパンの肩とかが撃たれた場合は全然生きてるでしょ。 |
矢透 |
登場人物が全部、並列で描かれているのも 観てみたいけどね。 |
仲尾 |
でも、それはやってみたら面白くないと思うよ。 |
矢透 |
まあ確かに 「主人公は死なないでほしい」 っていう期待もあるもんね。 |
仲尾 |
だからそこで 「なんで主人公だからって死なないんだ、 この映画は嘘だ!」 って言う人がいたら、その人は映画が好きじゃないよね。 あるときはものすごくリアルにやるし、 あるときはお約束にする、それが映画なんだと思う。 |
矢透 |
じゃあ、そろそろ時間も来ましたんで、 このへんで。 今日はどうもありがとうございました! |
これで、当連載は終わりです!
ご愛読、ありがとうございました!