第1回:真面目に怪獣映画を作っていた時代。


矢透
今日観た作品の資料を持ってきました。
一応、今回の作品は
『宇宙大怪獣ギララ』という、
松竹制作の映画が元ネタなんです。
当時、東宝はゴジラ、大映はガメラと
怪獣映画を作っていて、松竹がそれに対抗する形で
作った怪獣映画が、ギララなんですね。

仲尾
怪獣映画にはあまりなじみがないので
新鮮でしたね
テレビとかでも観たことがなかったから。

矢透
実際、観てみて、どうでした?

仲尾
面白かったですよ。笑えました。

矢透
今回の映画では、制作側の
「笑かしてやろう」
という意図が見えましたよね。
そんな意図もなく、怪獣映画というものを
真面目に作っていた時代があったんですよ!


今回の映画は、
その時代に作られたパターンを使って
笑かしているんですね。
例えば、会議場に子供がいきなり現れて、
怪獣を命名するじゃないですか(笑)
あれも、パロディ。

仲尾
ふーん。そうなんだ。
その場にいなかった人すら、
急に怪獣をその名前で呼び始める
のが
面白かったね。
「まんまじゃん!」
っていうネーミングが最高。

矢透
全編、パターンの応酬なんですよね。

仲尾
そうだろうね。パターンの美学というか。
それがどういうふうに出来上がっていったのか
調べると面白いだろうね。

矢透
仲尾さんは、いわゆる「ゆるい」映画は
あまり観ない・・・?

仲尾
「ゆるい」映画というと?

矢透
例えば「シベリア超特急」とか、
今回「ギララの逆襲」を撮った河崎実監督の
コアラ課長」とか・・・
普段、そういう「ゆるい」映画を観ない仲尾さんが、
この「ゆるい」感じの映画を観て、
どうだったのかなと。

仲尾
いや、でも、ちゃんと映画になっていたから・・・
パターンをきちんとやっていたという感じかな。

「しょぼさの美学」というのがあるのかなあ。
最初のゴジラは、それこそみんな本物だと思って
驚いたと思うんだけど、
「あれは人が中に入っているんだ」
ってわかった後でも、同じ方法を続けるというのは
一つのパターンの美学というか・・・

それに「大日本人」なんかとは違って、
ちゃんと特撮を模型でやっていてね。
あとは、一切空が映らない。
怪獣と、それを見る人間と、明らかに
カメラの切り返しでやっている。
ああいうのも、昔から変わらない手法なんだろうね。

矢透
特撮でも特に難しいのは、
怪獣が出てくる部分と、人間のドラマ部分の
つなげ方らしいんです。

仲尾
それが映画のいちばん難しいところであり、
楽しいところでもあるよね。
現実では起こるはずのないことが、
映画の中では起こせる、っていうのがいいよね。


次回、「セガール、バカにしてよし」につづきます!