2017年に読んだ本と、そのコンテクストを紹介します

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

久しぶりの更新となります。今年は更新を頑張るぞ、と毎年言っているものの、やはり相変わらずの更新頻度でした・・・。2017年は個人的に学びの多い1年でしたが、「記事にできるだけの納得や言語化」ができるまでに、相当の時間がかかりました。

正直に言うと、いまだに、きちんと今年学んだことについて、正確に言えるかというとどうも怪しいのですが、そんなことを言っていると永遠にアウトプットができなくなるので、ここらでまとめて、「えいやっ!」とエントリーを吐き出したいと思います。

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Reading / ThomasLife

本を紹介する理由について

2017年に買った本は約90冊でした。例年よりも少ない上に、3桁もいっていないのは恥ずかしいのですが・・・恥を忍んで、読んでよかった本をまとめようと思います。

というのも、私の読書には「仕事や生活上のコンテクストに沿って読む」という系統があります。そこで、読んだ本について、どのような場面で必要とし、どのように読んだか、というコンテクストをあわせて紹介すれば、「2017年の思考の系譜」がわかるのではと思ったのです。

あと今後、同じような文脈で、紹介した本を読もうと思う人の参考になれば、と思ったのが理由です。押し付けがましいネ。

マネジャーを学ぶために読んだ本

さて、2017年は、何よりも、マネジメントについて本当に学び始めた1年でした。前回のエントリーが8月で、そのときに書いたのが「マネジメントを学ぶための本」だったわけなので、「マネジメントを学ぶ」というコンテクストが、今に至るまで継続しているわけです。

なかなか、プレイヤーからマネジャーへの生まれ変わりは難しく、くじけることもあるけれど、今のところ私は元気です。

ということで、まず「マネジャーってそもそも何なの?」という基礎を学ぶ本をまとめて読みましたが、中でも、インパクトが強かったのが、以下の5冊です。詳しくは前回のエントリーを参照いただければ幸いです。

  • HIGH OUTPUT MANAGEMENT
  • 駆け出しマネジャーの成長論
  • マネジャーの最も大切な仕事——95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力
  • フィードバック入門
  • なぜ、あなたがリーダーなのか

「組織づくり」について、テーマがつながった本

マネジャーとしても、まだまだ道半ばですが、今後は、チーム・組織をどのようにしていくのか(そもそもテメー自身をどげんかせんといかんわけですが)を考えなければならず、そのヒントを求めて、いろいろまさぐっている最中です。

その中で、「発達指向形組織」というものを教えていただいたのですが、そのテーマをよく調べてみると、どうやら、今年の中盤から私が読んでいた本たちが、知らず知らずのうちに、そのテーマに連なっていたようなのです。

つまり、「個人の成長=組織の成長」という私の問題意識と、無意識に選んでいた本と、「発達指向形組織」という言葉が、自然に連結していたわけです。そういう「コンテクストがつながった」状況に、私は興奮を覚えますので、今年の後半の読書は印象深かったです。。

その中でも、印象深かったのが、以下の本です。

マネジャーの実像

みんな大好きミンツバーグ教授の本。書店で偶然見つけ、即買い。「マネジャーは本当は何をしているのか」を観察によって描き出した本で、徹底的にリアリズムな観点が好き。

ミンツバーグ先生の戦略論は好き嫌いがありそうですが、私としては、精神的にまいっていた時期に読んだせいか、「マネジャーの一日の観察記録」が面白すぎてションベンを漏らしたので、新人マネジャーは一読することをおすすめいたします。読み物としても面白いです。

ここから、マネジャーの成長の方法としての「内省」を知り、それを技法化した「リフレクションラウンドテーブル」、その一形態としての「マネジメントハプニングス」に行き着いたので、すごく収穫のあった一冊。

なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか

出ました!「発達指向形組織」掲げるキーガン教授の一冊。

そもそも、「発達指向形組織」とは、いかにメンバーが精神的に成長するか、が組織の命題として設定されている組織をいいます。

そして、大人の意識の発達モデルとしては、以下の4つの段階があるとキーガン教授は定義しています。

1.「個人主義型」(自分の目的が最優先。他人を道具化する)

2.「環境順応型」(周囲の環境・組織コンテクストに合わせる)

3.「自己主導型」(自分の意義ある目的のために、相手の協力を仰ぐ)

4.「自己変容型」(自分の目的そのものを見つめ、問い直すことができる)

組織構成員が、高次の意識レベルを目指すのを、組織を上げて志向するのが「発達指向形組織」(DDO)です。

「個人の意識レベルの発達」に組織のテーマを置いているところがユニークだと思いましたが、さらに、それが結果的に、ビジネス的に正しい生産性を生み出す、というのが驚きでした。

ただ、自分の意識レベルを見据え、高いレベルに行くために、絶えず、他者からフィードバックを受け続ける(そして与え続ける)のは、なかなか大変ダナーと思いました。

発達指向形組織へのドライブを与える「場」や「習慣」の一例が、先に上げた「リフレクションラウンドテーブル」・「マネジメントハプニングス」であり、「1 on 1」なわけですね。

成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法

「発達指向形組織」が、「個人の意識レベル」の段階を上げるのを目的とした本とすると、「ダイナミックスキル理論」は、その成長の構造を明らかにしたものといえます。

成長は、直線で行われるわけではなく、上がったり下がったり、変化が起きない時期が続いたりといった、複雑でダイナミックなプロセスを経て、段階的に変化するものだ、といいます。

あるときはプレゼンが上手くできたのに、別の日にはうまくいかなかったり、あるときは「完全にわかった」と思ったのに、別のケースになると手も足も出なかったり・・・それでも、1年前よりは確実に何かが成長している、という「あるある」が説明されています。それで救われる気持ち(©細野晴臣)。

まだ完全には理解していないですが、能力の成長法則としては、「統合化」、「複合化」、「焦点化」、「代用化」、「差異化」という5つがあるようです。自分の能力、ないしメンバーの能力開発に活かせそうです。

ヤフーの1on1

みんな大好き、ご存知ヤフーの1 on 1の本です。今更読みました。てへへ。

読んでいると、「1 on 1」は必ずしも決まったやり方があるわけではなく、各組織に合ったやり方を開発・応用するのに適した、優れたフォーマットであると感じました。

ポイントは、「1 on 1」が、徹底的に社員の成長のための場であることで、これは「発達指向形組織」とも志向を同じにしているように思います。

おまけ:プレイヤーとしての能力を開発するための本も紹介

やはりマネジャーといえど、一介のプレイヤーとしての個人のスキル開発も重要だし、やめられへんということで、仕事術・思考術の本もおすすめします。げへへ。

やはり、私の課題意識として常に持ち上がっているのが、「感情」と「時間」の2大マネジメントです。これは今までも自分のテーマではあったのですが、特にマネジメントが仕事の中枢に入ってくると、ここのつまずきでダメージがでかくなるので、切実さが違い、だいぶむさぼったと思います。

とりあえず、今年のおすすめ本は以下でした。読んでいくと、やはり大枠の内容や、私の受け取り方が、同じコンテクストに収斂していくのが気持ちよく、面白かったです。そのコンテクストとは、「集中力」「シングルタスク」「マインドフルネス」「感情マネジメント」「幸福論」これらが、全てつながっているということです。

フロー状態が幸福を生み出す。「仕事はうかつに始めるな」

cakesの連載中から目から血が出るほど「へえ〜」した(意味不明)な本です。個人の幸福の新しい段階としての「フロー状態」に入るためのステップと、その段階としての集中の仕方は、時々読み返します。

集中力と時間が最大の資源「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」

これもベストセラーなので、読んだ方も多いでしょう。複雑で重い仕事は、一気に集中力をブーストして片付けろ!という内容ですが、目的としては、個人の幸福を追求するために「本当に大事なこと」に費やすための時間をいかに確保するか、というものです。人生で重要なタスクに取り組む時間を作れ!というのは、耳の痛い指摘でした。

また、この方法は、「シングルタスク」の極北だと思いました。

マルチタスクからの解放が幸福への第一歩「SINGLE TASK 一点集中術――」

「マルチタスク」が、いかに非効率で悪であるか、について書いてある本です。最近、「シングルタスク」を意識して実践していますが、なかなかムズカシイです。。いかに自分が「マルチタスク」に頼ってきたかがよくわかりました。

なぜ「マルチタスク」が悪なのかというと、絶えず時間に追われる思考に陥るからです。そのくせ、本当に大事なことに取り組む時間を確保することが困難になります。

現代の幸福を語る時、「タイムマネジメント」「感情マネジメント」は欠かせませんが、マルチタスクはその全てをダメにします。結局のところ、マインドフルネスは、思考を「シングルタスク」に戻すための役割を担っているのだとわかりました。

まとめ

事程左様に、2017年のテーマは「マネジメント」でした。

マネジメントの最大の学びは、行動という実践であり、もっと言うなら、実践での「失敗体験」だと思います。失敗があるから、同じ失敗を繰り返さないために、原因について学ぶし、その意味について深く理解しようとします。

マネジメントで失敗したときは、プレイヤーとして失敗したときよりも、ダメージがでかい(ような気がする)し、頭を殴られたようになるので、まともには考えられないし、冷静にうけとめることもできないし、かつ、回復するための十分な時間もなく、次の事態が起こる(ように思える)ので、本当にキツいものです。

そのときに「本当に役立つ」情報は、水のようにごくごくと入ってきます。今回紹介した本は、私にとっての「水」となってくれた本だったと思います。

2018年は、願わくば、行動とインプットの、ダイナミックな連関を、さらに起こしていきたいものです。

-世界の片隅から(よもやま話)