転職活動をして「情熱」の大切さに気づいたことと、しんどいときに読んで心が支えられた本3冊

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

最近はずっとブログが更新できておらず、最後の更新は8月。3ヶ月近くもブログを放って、何をしていたかというと、転職活動をしていました。

今回は、転職活動中を通して気がついたこと、考えたことの誰得なまとめと、心の支えになった本の紹介を、ブログリハビリとしてエントリーしたいと思います。


motivation-fire-inside--richardstep-unleash-your-strengths / RichardStep.com

転職をするにあたって考えたこと

前職のWebの制作会社に勤めてから約7年。良い人たちに恵まれ、長く働くことができました。感謝しています。おかげで、20代と30代前半の期間を、ダラダラと過ごさずに済みました。

さて、転職活動をしようと思いたったものの、これから何をしようか、ということはノープランでした。

34歳にもなって気が付いたのですが、私は将来の計画を立てたり、キャリアプランを引いて逆算して仕事をしていくことに、あまり興味が持てないのでした。

20代の頃は、そんな性格も障害になりませんが、齢をとるにつれ、のんき坊主はどんどんとキツくなりますし、将来の可能性を片っ端から火炎放射器で焼き尽くすこととほとんど同義になります。
なので、このままのんき坊主で生きていくのかどうか、をまず考えなくてはいけませんでした。

私は、未来のことに興味がない代わり、「今」何をしたいのか、ということにすごく興味があります(ストレングスファインダーの「適応性」が3位)。なので逆に「今」にどんどんフォーカスしていって、後から振り返って蓄積されたものを使って、またサバイブしていくしかないな、と思いました。格好良く言えば、点と点をつなぐ、スティーブ・ジョブズの言葉にも似ていますね。

どんどんと減っていく可能性と選択肢をそれなりに受け入れつつ、これから何をしようか、と都度、考えていくしかないと思います。のたれ死に太郎です。

動機となる情熱を仕事探しの起点としたい

いちおう転職サイトやエージェントに登録はしたものの、経験やキャリアから機械的にはじき出されたリストから「どれにしようかな?」と選ぶのは何か違うと思いました。

転職するとはいえ、単純にカタログショッピングのように会社を選ぶのにはなんだか違和感がありました。

ナマ(生意気)言って申し訳ないのですが、自分の人生を切り開いていくのに、限られた選択肢から選ぶ、そもそも選択肢を限ってしまう、そんなのはちょっと違うな、と思いました。

どちらかというと、自分としては、今後も長きにわたって自分の行動の動機となりうる情熱を持って、仕事をしたいと思いました。

そういう面倒な自分の性向のおかげで、まず自分の動機を問い直すのに時間がかかりました。最終的に、Wantedlyでいろいろな会社に話を聞きに行ったりできたことで、納得のいく活動ができたかと思います。わざわざ時間を取っていただいた企業の皆様には、本当に感謝しています。

転職活動期間に読んでぐっと来た本

転職活動中には、仕事がバタバタしたり、仕事の引き継ぎで迷惑をかけたり、家族が健康問題があったりと、何かとバタバタしていました。

つづいて、そんな精神の低迷期に、しみじみと「読んでよかったなあ」と思った3冊の本を紹介したいと思います。どれも、これから自分の人生をどうやって作っていくかという課題に対して、考えるヒントとモチベーションを与えてくれる本でした。

1冊め「スタートアップ!」

スタートアップ!
スタートアップ!

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以前のエントリーでも紹介させていただきましたが、転職活動中に読みなおしました。キャリアの築き方、人脈の重要性についての考え方は、ほんとに参考になりました。

人脈というとセミナーやパーティーに出て名刺を配りまくる、という外向型バリバリのイメージがありますが、それは否定されていて、いかに信頼関係を築けるか、が大事だといいます。

「GIVE&TAKE」という本でも述べられていたこと(こちらのエントリー参照)ですが、「まずは自分から相手に尽くす方法を考えろ」と書かれています。相手に尽くす、役に立つためには相手がプロであればあるほど、こちらも当然、プロであらなければならず、いい人であればいい、という話ではなく、相応に厳しい道であることは間違いありません。

2冊め「イーロン・マスク 未来を創る男」

イーロン・マスク 未来を創る男
アシュリー・バンス
講談社
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この本はべらぼうに面白かった。それに尽きます!

電気自動車の「テスラ」、火星への有人宇宙飛行を目指す「スペースX」など、桁外れの会社を率いるイーロン・マスクの人の評伝です。

実在の(しかも存命中の)人物の評伝にもかかわらず、物語を呼んでいるような高揚感。

幾度とない打ち上げ実験失敗のなか、あわや資金が底をついてしまう、という絶体絶命の危機、そこから打ち上げを成功させ、ついに国際宇宙ステーションに物資を運ぶロケット事業者の地位を勝ち取るくだりは、読後の満足感が満腹中枢をびしびし刺激します。

何よりも、荒唐無稽な夢、ビジョンを動機として会社を立ち上げ、実際に成功させているというのが本当に面白い。

全てのことは動機、情熱から始まるということをあらためて感じ、自分にはどんな情熱が抱けるだろうと考えました。

・・・しかし、イーロン・マスクのかなりクセのある人物像も描かれています。彼の下ではあまり働きたくないような・・・。

3冊目「習得への情熱 ―チェスから武術へ―」

習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法
ジョッシュ・ウェイツキン
みすず書房
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この本は早くも「自分的・ブック・オブ・ザ・イヤー・2015」受賞の候補作!素晴らしい本です。

著者のジョッシュ・ウェイツキンは、チェスの全米チャンピオンを経て、推手(太極拳)の選手に転向し、やがてその道でも世界チャンピオンに輝いた人物です。

これが一人の人間の経歴なのか?と思わせるほどの、まるで真逆のジャンルを極めた経歴を持つ著者が、何かを身につけ、学び、上達するためのプロセスについて語り尽くした本です。

インスピレーションを得るための公式や型紙は存在しない。
だけど、それを得る自分なりの方法を発見するために辿るべきプロセスならある

というのが帯に書かれた言葉ですが、ジョッシュがチェスや推手を極めるために、どのように意識的に学習を進めていったのか、を章を追って丁寧に書かれています。

特に感銘をうけたのが、「数を忘れるための数」と「負の投資」(詳しくは別にエントリーを立てます!)。

基礎原理を繰り返し学び続け、身体に染み込ませること。学び始めの時期には、失敗を繰り返すこと。これはどんなことにも応用できると思いました。

何かを一から身につけ、意識しないでも使えるようになり、さらに新しいインスピレーションを得るところまで上達するためには、意識的な学習が必要になります。本書には、そのために参考になる方法がたくさんあります。

何より、ジョッシュが考える。考える。考える。頭脳活動によって学ぶことをアシストする姿勢が、内向型の私としては特に「いいね!」でした。

フリーペーパーも作っています

この3ヶ月バタバタとしていたのは、転職活動に勤しんでいたのもありますが、もう一つありまして、実はいま、あるテーマでフリーペーパーを作っています。

そのための取材で、今までまったくなじみのなかったヘルスケア分野の人たちにインタビューする機会を得ていまして、その体験もまた、自分のキャリアへの考え方にフィードバックできています。
本当に経験値をためることができていて、森脇健児ばりに感謝感謝の時期であります。

フリーペーパーについては年末までつづくプロジェクトになるため、また紹介させていただきます。かなり面白いはずだ!

転職活動とフリーペーパー制作を通じて、「個人的な情熱がわりと世界を広げてくれる」という原理を感じている時期です。若さを失いつつある年齢において、この、幼ささえ感じる原理が強さを持っているのは本当に励みになります。がんばろう。

-世界の片隅から(よもやま話)