変えられないものは、そのまま受け入れよう |「内向型を強みにする」を読んで
ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。
世の中はとかく「外向型」の人が重宝されているような気がします。ハキハキと意見を述べ、軽く楽しい雑談をし、多くの友人を作り、積極的に活動しよう!と「人間かくあるべし」というメッセージが発信されているような気がします。
しかし残念ながら私は「明るくない」「ハキハキしていない」方の人間ですので、自分の性格についてくよくよと悩んでいます。だからでしょうか。「内向型」というキーワードを最近よく聞きます。
世の中の大半の人は、人と関わるのが好きな「外向型」。しかし25%といった割合でいるのが、私のような「内向型」なのだそうです。
「内向型を強みにする」という本は、そんな「内向型」という性質の正体と、どうすれば「内向型」の人が臆せずに生活できるのか、について示唆を与えてくれる本です。
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「内向型」とはなにか
筆者は、「内向型」と「外向型」のちがいは、その人がエネルギーをどこから得るかのちがいだ、と述べています。どちらが良い、というのではなく、単に違うだけだと。
内向型と外向型の主なちがいは、そのバッテリーの充電方法にある。外向型は外の世界からエネルギーを得る。彼らのほとんどは、人と話したり、外のさまざまな活動に参加したり、人や活動や物に囲まれて働くことを好む。
(略)
これに対して、内向型の人は、なかの世界から、つまり、アイデアや感情やイメージからエネルギーを得る。
(略)
内向型には、物事をじっくり考え、自分を充電するための静かな場所が必要だ。
世間では誤解されがちですが、内向型は「引きこもり」でも「人嫌い」でもなく、人との関わりでエネルギーを得ることができないため、疲れてしまうのです。人が嫌いとか、社交が嫌いとかいうのでは全くありません。
「内向型」と「外向型」の違いはどこから来るか
そんな「内向型」と「外向型」の違いはどこで生まれるのでしょうか。おどろくべきことに「内向型」と「外向型」の人では、脳の作りがちがうのだそうです!
第一に、内向型の人の脳へ流れる血液量は、外向型の人より多かった。血流量が多いということは、より多くの内的刺激を得ているということだ。
(略)
第二に、内向型の人と外向型の人の血液は、それぞれちがった経路をたどっていた。
(略)
内向型と外向型の血液が別個の経路をたどるというだけでなく、それぞれの経路は異なる神経伝達物質を必要とする。
外向型の人の場合、脳を流れるのはドーパミン。刺激を与え、脳を活性化します。対して内向型の人の脳には、ドーパミンを抑制し、脳を鎮静化させるアセチルコリンが主に流れているのだそうです。
そうかー。脳ですか。脳がそういう作りになっているのでは、元々の性格なんか直しようがないですよ。脳をまるごと全交換でもあるまいし。
先日紹介した「さあ、才能に目覚めよう」でも、人の強みの元となる「資質」は、「脳のどの回路が強く生き残っているか、によって生み出される」と書いてありましたっけ。
自分を正しく評価する
この本にも書かれていますが、世の中の多数派は「外向型」によって占められています。世の中の「良し」とされている価値観は、ふと気がつくと外向型偏重であったりします。
内向型の人は、自分でも自分のことを、「ダメな奴」と認識し、罪悪感に苛まれているのではないでしょうか。しかし、内向型の人が、外向型のものさしで評価されては、その良さを発揮することはできないでしょう。
同じく「内向型」の同志、アインシュタインも次のように述べています。
この世の誰もが天才である。しかし、魚には木登りの才能がないと評価していたら、魚はダメだと思い込むような一生を送ることになる。
もうひとつ、問題は、他人からの評価もさながら、自分で自分に誤った評価を下してしまうことではないでしょうか。自己評価を誤ると、無意味な劣等感に苛まれ、人生をムダにしてしまいます。
変えられないものは、そのまま受け入れよう
もしあなたが、自分は「内向型」だと自覚しているならば、それは脳の作りがそうなっているのです。どうしようもないことなのです。
あなたは眩しく見える外向型の人にはなれません。それを目指すべきではありません。
変えられないことを受け入れ、それをスタートラインにしなければ、魚なのになんとか木登りをしようと、誤ったゴールを目指す不毛な努力を続けることになります。
性格や資質といった変えられないこと、いわば手持ちのカードを知って受け入れることが、強みを活かすための「正しい努力」のスタートです。
「内向型を強みにする」では、その性格を大事にしたまま、外向型の海を泳ぐにはどうしたらいいか、について書いてありますが、それにはまず自分を知ることだと。
ラジオの長寿番組「テレフォン人生相談」で、パーソナリティの加藤諦三先生がおっしゃる名言があります。
「変えられることは変える努力をしましょう。変えられないことはそのまま受け入れましょう」
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