ストレングスファインダーで適職はわかるのか?|「スタートアップ!」を読んで

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

ヤトミックカフェを訪れていただく皆様の中には、「ストレングスファインダー 適職」というキーワードで訪れてくださる方がいます。

At Work
At Work / kohlmann.sascha

おそらく「ストレングスファインダーの結果から適職が見つかるか?」という疑問をいだいて検索をされているのだと思いますが、これにはすでに、ストレングスコーチ(ギャラップ社の認定したプログラムを修了し資格を取得したコーチ)からの秀逸な回答があります。それは

「YESでもあり NOでもある」

・・・なんとも煮え切らない回答ですが、それが真実です。

ストレングスファインダーはWhatではなくHowを見つけるツール

よく言われているのが、ストレングスファインダーは「何が得意か」(What)ではなく「どのようにするのが得意か」(How)を教えてくれるツール、ということです。

例えるなら、ストレングスファインダーは、「どの山を登るか?」ではなく、「いま登ろうとしている山の頂上にどのようにたどり着くか?」を教えてくれるということです。

だから、どの山を登るかは自分で自分で決めなければいけないのです。

たとえば、教育の現場で働いている人が、非常にやりがいを感じながら仕事をしていて、ストレングスファインダーを受けて「成長促進」の資質があったら、「やっぱり!」と思うことができるわけです。

では「成長促進」がなければ教育では働けないかというとそんなことはなく、例えば「個別化」や「収集心」の資質を持っている人がいれば、各生徒の個性をどんどん知っていくことにモチベーションをフォーカスしたり、できるわけです。

だから適職が見つかるかどうか、というよりも、どのように今の状況に対してアプローチするのに向いているのか?を考えるためのツールだと言っていいでしょう。

とはいえ、適職を探したいときもあるじゃないですか

しかし「ストレングスファインダー 適職」というキーワードで検索する人は、今の仕事に何らかの不満や違和感を感じているか、今まさに仕事を探そうとしているか、どちらかではないでしょうか。

そういう人に対して「YESでもあり NOでもある」というトンチのような回答をしても、がっかりさせてしまうだけでしょう(そして「ストレングスファインダーって結局役に立たねえな」とぼやくのです)。

適職、あるいは少しでも自分に合っていると感じられる仕事に出会うにはどうしたらいいでしょうか?

私がオススメするのは、そのような疑問に答えてくれる示唆に富んだ一冊「スタートアップ!」を読むことです。

スタートアップ!
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「強み」は3つの要素に分類される

「スタートアップ!」は、ペイパルの創業に関わり、またビジネスSNS「LinkedIn」を創業したリード・ホフマンの著書で、人生を切り拓く個人をスタートアップになぞらえ、どのように、この変化の激しい現代において、自己実現をはかっていくか?を書いた本です。

本書の第2章はずばり「競争するための強みを培う」。

その中には、市場での競争に打ち勝ち、他者と差別化して生き残るためには、自分の強みを常に意識する必要があると書かれています。

さらにその強みは、

  • 資産(財力、技術、人脈、経験)
  • 大志(強い願い、アイデア、目標、ビジョン)
  • 市場環境(市場におけるニーズ)

という3つの要素に分類されます。

自分の競争力を生み出し、キャリアを考えるときには、その3つの要素のバランスを常に考える必要があります。なぜならそれらは流動していくからです。

ストレングスファインダーを適職探しの一助にするためには?

ストレングスファインダーで判明するのは、3つの要素のうち「資産」、中でも「ソフトな資産」でしょう。

資産とは、いまあなたが持っているものを指す。将来の夢を描いたり、プランをつくったりする前に、いまある資産がどう有利に働くかをはっきりさせる必要がある。

(略)

ソフトな資産はお金では手に入れることができず、キャリアを成功へと導くうえで目に見えない貢献をする。脳に収まる知識や情報、仕事に活きる人脈とそこで培った信頼関係、鍛え上げた技能、評判や“?自分ブランド”?、得意分野(自分にとって簡単にできること)などである

このソフトな資産をどのように築くのか?を考えるとき、自分の思考・行動パターンを、ストレングスファインダーによって言語化しておくことは非常に有利です。

私の場合

私のストレングスファインダーの結果では「原点思考」「内省」「適応性」「共感性」「慎重さ」が上位に来ます。

例えば「原点思考」は、私においては「過去の前例から現在を理解し、未来を予測する」とか「物事の文脈を知ることで全体像を理解する」とか、そういう思考パターンを生んでいると思います。

それを資産を築くために役立てるのであれば、

  • 何かを学ぼうとしたときに、「そもそもそれが何なのか?」をまず学ぶことで、すっと頭に入りやすくなる。

  • 新しい仕事を始めるときには、過去の前例をたくさん知ることで、仕事の全体像を理解できる。

  • 人間関係を築くときには、まずその人の経歴を知るようにすると、すっと理解できる。(合わせて共感性も発動するはず)

といったようなことがわかります。言語化されていると便利ですよね。

まとめ:ストレングスファインダーをきっかけに自分の強みの棚卸しをしては?

そもそも私は「ストレングスファインダーで適職がわかるか?」という疑問には、「どちらかというとNO!」という立場でした。

しかしそんなことを賢しらに言っていても「せっかくストレングスファインダーを受けたのに、全然活かせていない」という人が増えていくだけです。

ストレングスファインダーの結果をどのように活かすのか?活かせるのか?という問題はけっこう根が深いと思います。ケースバイケースで一般化できないことも多く、考えることも多くて、面倒くさいのです。

私の提案としては、ストレングスファインダーをきっかけに、上の3つの要素のうち「ソフトな資産」の棚卸しをしてみることです。持っている経験、知識、技術、人脈、得意なことは何なのか?をリストアップしてみるのです。

「スタートアップ!」には、そんな棚卸しの最適な方法も書いてあります。

目に見えない富、つまりソフト資産を自分がどれだけ蓄えているかを思い出す何よりの方法は、交流会に出かけて行って、仕事上でどういった悩みやニーズがあるかを参加者に尋ねることである。こうすると、自分は役立ちそうなアイデアを持っているとか、助けになりそうな人を知っているとか、「自分ならすぐに解決できる」と思い当たる機会がどれだけあるかを知って、驚くだろう。貴重なソフト資産を持っていると自覚するのは往々にして、他人にとっては難しくても自分にとっては易しい課題に出会ったときである

ストレングスファインダーの思想は、自分にとって自然にできる(そして他人にはできない)ことこそが強みの種、というものですから、まさにぴったりではないでしょうか。

皆様がよりよい仕事に出会えますように。

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