ミッドライフ・クライシスに陥ったら試したい「自己の再定義」

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

以前のエントリーでも書いたように、私はいま現在進行系でミッドライフ・クライシスに陥って(いると認知して)おり、その対処法をいろいろと考えています。

今回は、いま話題の、鎌田實さんの著書「ミッドライフ・クライシス −80%の人が襲われるしんどいの正体−」を読み、どうやらミッドライフ・クライシスを乗り越えるのに必要らしい「自己の再定義」について考えてみました。

ミッドライフ・クライシス (青春新書INTELLIGENCE 625) Paperback Shinsho – July 2, 2021

ミッドライフ・クライシスの原因は1つじゃない

この本の中では「40〜60代の80%がミッドライフ・クライシスに遭遇すると言われている」とされ、ミッドライフ・クライシスの原因について、いくつかあると考察されています。

①自分の人生の山頂が見えてくる
②病気が発見され、病気との戦いが始まる
③自分でコントロールできないことにのめり込む
④下り坂の向こう側に、遠くではあるが死が見え始めている
⑤自分探しが終わらない
⑥子供が自分の元から巣立ち、「空の巣症候群」に陥る
⑦過度なストレスを抱えたまま、オーバーワークを続けている
⑧人生をうまく乗り切った人が初めて「つまずき」と向き合う

ミッドライフ・クライシスの原因はひとつではなく、かつ「人生がうまく行っている・いない」にかかわらず、多くの人が陥る可能性がある、ということのようです。

ミッドライフ・クライシスの乗り越え方とは

人生が上り坂から下り坂に入っていくまさに成人後期、人間は心の問題だけでなく、身体の問題も微妙に関係しながらさらなる下り坂に入っていく

と鎌田先生が書いていますが、ミッドライフ・クライシスは、多くの人が陥る状態でありながら、原因も人それぞれ、かつ、下り坂をどう降りるのか、という対処法も自分で考えなければいけない、という極めて個別性の高い問題のようです。

だからこそ「自己の再定義」をおこない、「自分なりの人生の生き方」をデザインしていく必要があるのではないでしょうか。

「自己の再定義」をどうおこなうか?

鎌田先生はミッドライフ・クライシスを「人生を軌道修正するチャンス」と定義しており、本の中でも、自己の再定義をしセカンドキャリアを描いてきた人たちの事例が多く紹介されています。

とはいえ「自己を再定義する」というのは簡単なことではありません。これまで無自覚に生きてきたものを、あらためて思い出し、認識し、価値づけし、結論づけて、アクションを決めていくなんてことは極めて労力のかかることだ、というのは想像に難くありません。

ナラティブ・アプローチという方法がある

自己の再定義をどう行うか、ということのヒントになるかなと思ったのが、こちらも最近話題の中原淳先生の著書「転職学」にて紹介されていたナラティブ・アプローチという方法です。

働くみんなの必修講義 転職学 人生が豊かになる科学的なキャリア行動とは Tankobon Hardcover – April 1, 2021

「ナラティブ・アプローチ」の発想が独特なのは、「確固たる自己」や「確固たる自己にまつわるストーリー」が最初から人の内面に存在している、とは考えず、それはその人が語ったり、他者と対話をしたりするなかで構築され、書き換えられていく、と捉えるところにあります。

ナラティブ・アプローチとは、精神療法で注目されている社会構成主義的な方法で、人の価値観や物の見方は「物語」として構成されており、それは常に書き換えられていくものである、という前提に立ちます。

そして、その人が持っている「ドミナント(支配的)ストーリー」を語りながら自覚し、必要に応じて、より望ましい「オルタナティブ(代替)・ストーリー」に転換していく、というものになります。

自己の再定義を行うにあたって、ナラティブ・アプローチを試み、自分がどういう「物語」を持っているのか?を自覚することは有効と言えます。

あらためて自分が持っているストーリーを自覚する意味で、コーチングやカウンセリングをこの目的で利用するのもいいかもしれません。

自分の人生を作るための意思決定をする

鎌田先生はミッドライフ・クライシスの時期こそ、新しい打席に立つチャンスだ、と書いています。48歳でパニック障害に陥った人生の先輩が振り返っているからこそ、説得力がありました。

あらためて立ち止まり、自分の人生をしっかりデザインしていくための、自分だけの意思決定をしていきたいものです。

-世界の片隅から(よもやま話)