『義理ラリー』の限界
少し前のこと、
出勤前にコンビニで買い物をしたら、
ポイントカードを作りませんか
と、店員の女の子にしきりに勧誘された。
僕はそのとき急いでいたので、あいまいに返答して
その場を切り抜けた。
内心、コノヤローと思った。俺は急いでいるんだぞ。
僕のコンビニのバイト経験から考えると、
きっと、店員それぞれにノルマが与えられているのだ。
もし僕が、その場でポイントカードを作っていれば、
きっと店員の女の子は喜んでくれたはずだ。
でも僕は面倒だから作らなかった。
だから、お互いに良い思いは残らなかった。
mixi(ミクシー)という、SNSがある。
インターネット上で色々な人とコミュニケーションできる
サービスである。
ミクシーでは、
自分が書いた日記にコメントを書いてもらったら、
お礼を書いたり、
あるいは
その人の日記に対して、今度は自分がコメントをつける。
という、相互のやり取りがつづいていく。
インターネットでは
文字でしか自分の気持ちを伝える手段がない。
大げさな言い方だけれど、
書くのをやめたら、もう絶交と同じことになってしまう。
だから書き続けるしかない。
大変だ。
まるで限界までつづく『義理ラリー』だ。
際限なく相手の期待に応えつづけることなんかできないし、
そんなことをしていたら、
自分の時間やお金とか
人生の貴重な資源が全部持って行かれてしまうだろう。
人に迷惑をかけるな、とか、義理はたてろ、とか
今までさんざん言われてきた。
あまりにもさんざん言われてきたから、
まるで簡単なことのように思えてしまう。
でも
100%「いいひと」でいることなんか
土台、不可能だ。
どうやったって
生きていれば人に迷惑くらいかけるだろう。
人に受けた義理を返せないことだってあるだろう。
借りたままのお金だってずいぶんある気がする。
でも借りたことすら忘れてしまっているんだぜ。
ひどいじゃないか。
でも仕方がない。そういうものなのだ。
笑って水に流してしまうのだ。
数年前から、自分のことを
冷血動物みたいだなと思うようになった。
どうも
人に親切にしてもらうことをトウゼンだと
心のどこかで思っている節がある。
できるかぎりの感謝はしたいし、義理も果たしたい。
人に親切にしたい。
僕だってささやかにそう思ってはいるのだ。
でも
できるだけしかできないし、できるだけしかしない。