島田先生と、上の世代の仕事観。
島田先生は、僕の高校時代の恩師です。
長きにわたり、教師として働いておられます。
働くとはどういうことなのか?
世代によって、仕事観は変わるのか?
お話を聴いてきました。
第7回:仕事をするってことは、人との共同作業なんだ
矢透 |
編集者の友人と転職の話をしたとき、 若い人がすぐ会社を辞めてしまう 理由の仮説として 「自分はもっと何でもできるはずで 今の職場で何もできないような自分は、 自分じゃない」 そう考えて退職するんじゃないか、という 『自分探し説』 というのも挙がったんです。 |
島田 |
でも人には向き不向き というのがあるからねえ。 俺だって、もし営業みたいな仕事とか、 編集者みたいな仕事に就いていたら、 忙しくてやりきれから辞めていたかも しれないと思うよね。 だから、自分の資質と仕事との出会いも 大事だよね。 小関智弘という人がいて、本の中で こんなことを書いている。 小関さんは高校を卒業してから 旋盤工として働いていて、 朝鮮戦争のとき、アメリカに納めるネジを 作っていた。 あるときアメリカから、 使い物にならないというので、 ネジが大量に返品されてきた。 その不良のネジを作った人は 「アメリカが朝鮮戦争に行くのを 遅らせるのに貢献したんだ」 とうそぶきながらも、 大量返品を出しちゃったから、 職場にいづらくなったんだろう、 その職場を辞めていった。 その人は、考えのしっかりした人で、 戦争にも反対していた。 小関さんは彼を尊敬もしていたし、 親しみも抱いていた。 でも、その人が辞めちゃったおかげで、 周りの人がすごく迷惑を受けた。 「あの野郎、自分のケツまで 人に拭かせやがって」 と周りの人が言っていた。 その様子を見ながら 「どんなに偉いことを言っていても、 自分の仕事がきちんとできなきゃ ダメなんだな。 自分は、自分の仕事をしっかりできる 人になろう」と思った・・・ ということを書いている。 |
矢透 |
うう・・・それは、よくわかります。 |
島田 |
だから、自分の向き不向きにかかわらず、 仕事として与えられた限りは責任が あるんだから、きちんと果たさないと 話にならないんだよ、 っていう気持ちは、すごく大事だよね。 |
矢透 |
そうですね・・・。 |
島田 |
仕事をするってことは、 人との共同作業なんだ、という視点が、 絶対大切だと思うんだよね。 教師という仕事は そういうことが感じやすい仕事でね。 授業のやり方は、生徒によって変わってくる。 自分のやり方が、相手によって 通じる場合もあるし、通じない場合もある。 だから、授業を何とか成り立たせようと思ったら、 生徒との共同作業になる。 そういう点ではやりがいがあるよね。 |
矢透 |
どうしても、他人が介在してくる。 |
島田 |
そういうことだよね。 だから、介在してくる他人と 向き合う能力が衰退している、 というのは確かだね。 |
次回、島田先生編、最終回です!
第8回:求めている方向が間違っている。
につづきます!