島田先生と、上の世代の仕事観。
島田先生は、僕の高校時代の恩師です。
長きにわたり、教師として働いておられます。
働くとはどういうことなのか?
世代によって、仕事観は変わるのか?
お話を聴いてきました。
第5回:物と向き合っていない
島田 |
新聞に、健康雑誌の広告が よく載っているだろう。 そのタイトルを見ていると、 「一日たった30分で・・・」 とか、いかに楽に目的を達成できるか、 というのがコンセプトになっている。 健康を維持するためには、 日々のそれなりの努力と 手間ひまがかかるにもかかわらず、 そちらの方には目を向けない。 楽であればあるほど価値がある、 という思想に 貫かれているのがよくわかる。 そんなふうな思想のもとで 育ってきたときに、 家を書くとき、瓦の一枚一枚とか、 羽目板の木目を細かく描いていく なんていうことを するわけがないんじゃないか。 人間だって、線で描かれてしまっている。 |
矢透 |
描くのが面倒くさい、 という理由もあると思うのですが 実際、そのように 見えているんじゃないか? とも思いました。 子供たちは人間が単純化して見えていて、 見たまま描いているんじゃないか。 |
島田 |
結局、物と向き合っていない というのは同じことだと思う。 物と向き合わず、 その中に入っていこうとしない。 自分の世界の中だけで生きている。 |
矢透 |
人や物と向き合わなくてもいい環境が 用意されている、 ということもありますよね。 楽な方と、苦しい方とどちらか選べ といわれたら、 それは・・・楽な方を選ぶと思います。 |
島田 |
われわれの世代は 楽ができるような環境を作ろうと 必死になって働いてきたわけなんだけど、 その結果、自分たちの子供が 楽な方、楽な方へと 流れてしまう結果になった。 |
矢透 |
進んできた方向が間違いだったとは 言えないけれど、 何かがちょっと違ってきたな というのは感じます。 |
次回
第6回:何が劣化したかというと
につづきます!