伊田さんと 「研究者」 について。
伊田さんは、進路を選ぶにあたって、就職ではなく
学問をつづける道を選択しました。
いわゆる 「社会人」 と、学問を志した人では
社会との関わりかたはどう異なるのでしょうか?
第6回:生きるか、死ぬか、なんだ。
矢透 |
今日が気がついたのは、 お金と利益を生み出す関わり方と 別の関わり方を語る言葉がない、 うまく語れない領域だということ。 社会はひとつだ、という幻想に とらわれてしまうのは嫌なんです。 |
伊田 |
大人になるには働いたほうがいい、 ということを、言われたこともあるけど それは、裏返せば 「社会人という関わり方が絶対」 という価値観があるんだと思う。 人文科学でドクターまで行ってしまうと 極端なことを言ってしまえば、 もう、のたれ死ぬか、研究者になるか という道しかないんです。 僕にとっては。 そういう意味では 相当、過酷な道を選んでいると思う。 研究者をやめる、ということは 生きている道を失うということに 等しくて、それはもう 生きるか死ぬか、という問題です。 そのストレスは日々感じています。 例えば、音楽をやっている人から 音楽を取り上げてしまったら、もう ゾンビでしょう。 僕自身だって、いつ研究を取られて ゾンビになるか、わからないわけです。 研究者への道はすごく細いし、 必ずなれるという確証もない。 |
矢透 |
その感じは よくわかる気がします。 社会人の場合でいうと、 自分の生き方の「核」みたいなものと 仕事というものを どうやってマッチさせていくか? ということが 大きな問題だと思うんです。 でも研究者の場合は、 すでにそれがもう一致しているわけで、 その生き方をどう維持していくか? に神経を使っているんだな、というのが よくわかりました。 本日はどうも、 ありがとうございました! |
伊田 |
こちらこそ ありがとうございました。 |
これで伊田さんのインタビューは、終わりです。
次回から、また新たな視点で「働くってことは?」
に迫りたいと思います!