伊田さんと 「研究者」 について。
伊田さんは、進路を選ぶにあたって、就職ではなく
学問をつづける道を選択しました。
いわゆる 「社会人」 と、学問を志した人では
社会との関わりかたはどう異なるのでしょうか?
第3回:見えにくい、社会とのかかわり
伊田 |
研究者にとっては、 労働力を提供してお金を得るために 三つの仕事があるんです。 ひとつは、教師です。 大学教授も先生だから、学生に授業をして 教えなくちゃいけない。 もうひとつは、経営者としての仕事。 大学は、学生を毎年入学させなくては いけないわけで、 その方策を企画したりします。 で、さいごは、研究です。 優れた研究者というのは、 この3つの仕事を全てこなせる人ですね。 |
矢透 |
それは・・・相当ハードですね。 |
伊田 |
ハードでしょ? だから、どこか手を抜くんです(笑) 経営の仕事なんてやりたくなかったりするしね。 だけど、 これからはこの3つを兼ね備えていないと、 生き残っていくのは難しいなあ というのが、僕の感想です。 |
矢透 |
本当にやりたいことは何かと言えば 「研究」なわけですよね。 そのやりたいことを確保するために、 他の二つの仕事が、セットで ついてくるんだ・・・。 なんというか 「先生」や「経営」というのは、 働いているということが 目に見えやすい、わかりやすい 部分ですよね。 でも、本当にやりたいことである 「研究」と社会との関わりは すごく見えにくいですよね。 |
伊田 |
大学の同期生だった人たちは、みんな 就職して、社会人として働いています。 彼らにしてみると 「院生なんて遊んでるだけだろう」 と思われています。 まあ確かに、時間もあるし 働いてもいないわけだから、 返答に困るんだけど。 でも、研究をすることは 社会への貢献度が低いかというと そんなことはなくて、 (歴史学で言えば) 日本や、中国など、世界の文化基盤、 価値観、すぐには効果が表れないけれど 決しておろそかにできない部分を 担っていると思います。 ・・・というのは、口では言えるけれど、 じゃあ 僕の目下の研究はどうなんだろう? というと、すぐには直結しない。 |
矢透 |
それが、うまく言えなくて もどかしい、ですね。 |
次回
第4回:どうして後ろめたいんだろう?
につづきます!