伊田さんと 「研究者」 について。
伊田さんは、進路を選ぶにあたって、就職ではなく
学問をつづける道を選択しました。
いわゆる 「社会人」 と、学問を志した人では
社会との関わりかたはどう異なるのでしょうか?
第2回:研究者は何を目指す?
矢透 |
博士号を8年で取れなかった場合に、 もういちど学生の身分に戻ることは できるんですか? |
伊田 |
他の学校に入りなおせば、可能です。 |
矢透 |
博士号っていうのは、一回取ると、 何年で取ったかに関わらず、 ステータスになるわけですよね? |
伊田 |
そうですね。 文系の歴史学の場合なんだけど、 「院生のうちに博士号を取らなければいけない」 というのは、 ここ5、6年くらいの傾向なんです。 その前まではむしろ、博士号は そんなに簡単には出なかった。 教授などになってから、大著を書いて 博士号をとるというのが一般的でした。 でも、 だんだん博士号を持っていることが 就職の前提条件になってきたので、 みんな頑張ってとろうとしています。 いや、むしろ、 とらなきゃいけなくなってきたんです。 |
矢透 |
また基本的な質問なんですけど、 研究をしている人というのは 将来、何になることを 目指すものなんですか? |
伊田 |
うーん、そこが難しくて・・・ 研究するためには、立場とか、 身分とかがやっぱり重要なんです。 市井の一研究者としてやっていく道も ないわけではないけど、 それは アカデミズムの世界では異端視 されてしまうというか・・・。 高校の先生をしながら、 研究を続けるという手もあるけど、 中々厳しいし。 それがいいか悪いかは別として、 やはりアカデミズムの世界で 研究を認めてもらうためには、 「研究職」を得ていないといけないのです。 で、研究職というのは何かというと 大学に所属している助手、非常勤講師、 専任講師、准教授、教授など、 つまり「大学の先生」ですね。 何を目指すかといえば、 形としては 研究職を得ることなんだけど、 それはあくまで、 研究を続ける環境を得るためなんです。 だから 「研究を続けていきたい」というのが 本当の目標ということですね。 逆に言えば、 立場だけを求めていると、研究者としては だめになってしまうと思います。 |
矢透 |
自分のやりたいことは決まっていて、 それをやるための環境を 作るということですね。 |
次回
第3回:見えにくい、社会とのかかわり
につづきます!