死蔵のエッセイ(7)|座る場所を求めて
メンタルがダウンしてから、身体も疲れやすくなった気がする。特に精神が不調のときには、連動して身体の調子もどことなく悪くなる。心と、頭と、身体のリンクが切れたような、バラバラになったような感覚になる。身体がしんどく、何もしたくなくなる。
つい先日も、夕食の買い出しにスーパーに出かけたら、身体が重く、歩くのがしんどくなって立ち止まってしまった。「座りたい」と思ったが、座る場所はない。僕はガードレールにもたれて、しばらく息をついた。
それで気がついたが、街の中には「座って一息つける」場所は意外と少ない。座る場所は特にない。公園とか、限られた場所にしかベンチがない。当たり前だが、あらためてそんな発見があった。
道の真ん中にベンチばかりがあっても迷惑だろうから仕方がないが、歩いている途中に急に「座りたくなる」という人は他にいないのだろうか。いた場合はどうしているのだろう。地べたに座るのだろうか。
今は東京ではあまり見かけないが、コンビニの前でたむろする若者がいた。ヤンキー座りという独特の腰のおろし方で過ごしていたが、しかしあれはだいぶ筋肉の力を要する若者の座り方だ。
最近では「チェアリング」という概念もあり、椅子を持ち歩いて好きなところに座る一種のアウトドア・アクティビティということだが、ところ構わず好きなところに座る、というものではない。もちろんマナーがある。
事程左様に、街なかには座る場所が少ない。そもそも僕の体力が元に戻ればいいのだが、今のところメンタルダウンは復調の兆しを見せない。困ったものである。