スズキさん、何か書きませんか、
と言ったら、最初は「え」と遠慮されていた。
でも面白いものができそうだったので、
是非、とお願いした。

その甲斐あったなあ、とつくづく思うわけですよ。

−第10回 介護について−


僕の祖母の具合がよろしくない。
普段から体が痛いだの、調子が悪いだの、
不調を訴えている祖母であるが、
現在は本当にかなりの所まで来ているようだ。

ボケというほどでもないが、少し考える力が
低下しているようだし、体を動かすのも一苦労。
本格的な介護が必要になってきている。

先日、祖母の面倒を二時間ほど任されたことがあった。
普段は叔母(母の妹)が面倒を見ているのだけど、
その叔母が仕事に行っている間、下の世話やらなにやらを
しておいて欲しいということだ。

もちろん、昔からずっと世話になっている祖母の為だ。
快く引き受けた。

しかし、やってみるとこれがまたしんどい。
10分置きに名前を呼ばれ、やれトイレだから起こしてくれ、
やれオムツが濡れたから交換してくれ、
やれ叔母は何時に帰ってくるんだ…etc。

うーむ、これが介護というものかと、正直辟易してしまった。
これを毎日やっている叔母の苦労が痛いほど分かってしまう。

「これは老人ホームに預かって貰った方がいいんじゃないか?」
と叔母に言ったのだが、どうやら空きがないらしく
受け入れてくれるところがないらしい。

これからどんどん老人が増えていくだけに、
さらに老人ホームの倍率が増えていくのは明白だろう。
在宅介護の仕事はどんどん需要が増しているようだ。
たしかに在宅介護ならば、部屋数などを気にしなくて済むし、
ちょっとした介護で生活できる人にならもってこいだろう。

もし自分の親が介護が必要な体になってしまったらと、ふと考える。
僕は一体どうするだろうか?

やはり自分の親だから、自分の手で介護をして上げたいと思う。
もし結婚していたら嫁さんにも手伝って貰うだろう。
外出が必要なときはヘルパーさんを雇うだろう。
そうやって暮らしていくのが、今までの恩返しになるのでは
ないだろうか。

しかし現代社会は個人主義になりつつある(もう既になっているか)。
親とはいえどれだけ自分の事を犠牲にして介護が出来るだろうか。
それを考えると、まだまだ老人ホームの需要はなくなりそうにないようだ。
悲しいが、老人達を疎ましく思う若者は多いだろうから。

さて、僕が老人になったらどうするだろうか。
僕はどうあっても老人ホームに入れて貰いたい。
面倒を見て貰うのはありがたいが、
やはり子ども達に面倒をかけるのが申し訳ないからだ。
きっと僕は口うるさいジジイになっているだろうからなぁ。

でも一番の理由は子ども達に下の世話をして欲しくないことだ。
今まで上から見ていたのに、下の世話をされたとなったら…。
うーん、恥ずかしくて目も当てられない。

皆さんも介護について一度考えてみてはどうだろう?