劇団『こゆび侍』成島秀和さんにインタビュー!
6 役者の引き出しを開けること
矢透 |
演劇とかって他人がいますよね。 自分の世界を表現しようとするときに 人が出てくるじゃないですか。 |
成島 |
そこが、ようやく最近、 自分の中でしっくりくるようになってきたんです。 昔はきっちり「こういうふうに動いてくれなきゃ嫌だ」 って言っていたんですが、 今は、そういうふうに動いてもらうには どのように仕組んだらいいかって、考えますね。 |
矢透 |
役者がある程度、自分の解釈で動いても オーケーだと思えるようになったんですか? |
成島 |
そうですね。 その、「自分の解釈」について 役者に働きかけるようになったんですけど・・・。 |
矢透 |
なるほど。 |
成島 |
たとえば、
ビニールヒモをひたすら裂かせる稽古を えんえんと役者にやらせる。 そうしているうちに、こんな感情があるなんて、 と役者が発見するんですね。 そうすると、役者ってぐんと成長するんですよ。 その積み重ねなんです。 |
矢透 |
自分の感情って、必ずしも人ってわからないですよね。 日常生活だと、それこそ限られた引き出ししか 開けない。 新しい引き出しを開けていくのって楽しいでしょうね。 |
成島 |
楽しいです。 井の頭公園の奥の森で、役者を立たせて、 「ずっと電灯を見ててよ」 とか。 そういうことばかり・・・ ものすごく遠回りなんですけどね。 |
矢透 |
そういう稽古方法って、ふと思いつくんですか? |
成島 |
ふっと思いつくのが8割かな。 それは、これから体系づけていこうかと。 |
矢透 |
はー・・・ |
成島 |
僕はつねづね、役者が演出家の言ったとおりに そのまま動くのが気持ち悪いと思っていて・・・ 演出家が「脱げ」といったら 脱がなくちゃいけなかったりとか、 そういうのって日常の世界だったら 危ないじゃないですか(笑い) だからそういう方向にシフトしてから、ずっと 楽になりましたね。 |
矢透 |
役者に働きかけて、自主的に動かす、と。 その自主的な部分、動く動機を、役者と演出家で 合わせていくわけですね? |
成島 |
そうです。 |