【第5回】

就職をしないことに、不安とかためらいはありませんでした。
もともとは本がつくりたかったので出版社、
劇団をやるようになってからは、劇団の広報を
きちんとしたい、ということで広告、というふうに、
そもそも、やりたいことが明確にあったんです。

そのために経験が積める場所が欲しかったので、
アルバイトよりはサラリーマンのほうが、経済面で良いかな、
と思ったくらい。

でも、必要最低限の生活ができれば、どちらでもいいかな、
と思ってはいました。

今は、やりたいことができていて満足しています。
これからどんどん発展させていけるかな、と。
劇団をやりながらアルバイトをしている、という選択は
ベストな選択だったと思います。

会社員、アルバイト、という「身分」ではなくて、
どこの環境に身を置いたらいいのか
、ということが
まず最初にありますね。
もちろん、お金のことは考えなくちゃいけないから、
考えた上で、ということですが。

親父の仕事も、サラリーマンではありません。
「好きなことをやれ」と祖父に言われていたのでしょう、
バックアップはするから、と言ってくれて。

だから、就職しない、ということを決めたときも
大げさな『決断』というものがあったわけではないんです。

むしろ、社会人になった方が楽だったのかな、と思います。

今は、バイトはバイトで、演劇は演劇でと、それぞれ
別のことをやっていますから。
社会人だと、一つしかないでしょう。

だから、結局何を選んでも、きついんじゃないでしょうか。

友人はテレビ局に勤めているのですが、電話をすると
「やっぱりきついよ。でも頑張るぜ」
って言ってました。
そういうのを聞くと、テンションが上がるし、
やる気になりますね。

(つづく)

 
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