大きく外れる
「ものを始めるにはもう遅すぎる、
というときになって
何かを始めようとしたときは
自分にとって不自然なことをしないと・・・」
あるインタビューを読んでいて、
そんな箇所が目にとまった。
「不自然なこと」 とは、
今までの人生の流れからすると
考えられない、というようなことだ。
何かを成すためには、
あえてそれをやっちまわないと
いけないんだ・・・
今までの自分の人生のレールから、
大きく外れる。
それは怖いことだ。
想像してほしい。
明日の朝、あなたは
会社をサボって、空港に行く。
気がついたら、スーツのまま、
飛行機に乗っている。
手元には、会議の資料が入ったバッグがある。
そのままあなたは
メキシコでプロレス修行に突入する・・・。
知らない環境で、知らない人に囲まれ、
家族も、友人も、みんな自分から
離れてしまうかもしれない。
もうまっとうな社会生活は
できないかもしれない・・・。
2006年にはじめて転職をしたとき、
僕はそういう心持ちだった。
ブルっていた。
大げさな、と今なら思うけれど
「俺は未知の選択肢を選び取っている」
という恐怖と覚悟があった。
ところが今は、
そういう気持ちが薄れている。
新しい会社で、新しい環境で、
新しい仕事で、ちょっと前まで
新鮮な驚きに満ちていたものが、今では
決まりきった日常になってしまっている。
だいぶ慣れたなあ、楽だなあ。
と思う一方で
「それじゃ、ヤバイ!」
という焦りが出てきた。
今までの日常から、大きく外れる
という選択肢を取るのは、
よほど追い詰められたときだろう。
このままじゃ、行き詰まりだ!
脱出だ!
というときには、人間は
ぐわっ!とパワーを出すし、
経験値が上がるのだと僕は思う。
安全な道ばかりを進んでいると、
どうも、
生きるパワーがダウンしそうだ。
これから僕は年を取るだろう。
それとともに、
レールを外れる難易度や恐怖は
ますます高くなってくるに違いない。
僕は今、焦っている。