ピーターの法則を回避するために身に付けるべき「第2の新人マインド」とは何か?

こんにちは。ヤトミックカフェ運営人の矢透泰文です。

先日、とあるスライドを見て「ピーターの法則」を知りました。ふとした興味で本を買って読んだところ、その内容に戦慄いたしました。

ピーターの法則 創造的無能のすすめ
ローレンス・J・ピーター レイモンド・ハル
ダイヤモンド社
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「ピーターの法則」は、「なぜ上司は無能な人間ばかりなのか?」という誰もが(愚痴混じりに)抱く疑問に対して、ユーモアたっぷりに答えてくれる本なのですが、なぜ私が戦慄したかというと、実は私は最近、組織の事情により、何かの手違いか、少しだけ役職が上になってしまったからです。

俺はもう「無能レベル」に達してしまったのじゃあああああ!!!

と嘆いてももう遅い!!この「無能さ」から逃れるための方法を必死で考えなければいけなくなったのです・・・。

そもそも「ピーターの法則」とは?

「ピーターの法則」とは、教育学者ローレンス・J・ピーターが発見(?)した、階層社会の理論で、「ピーターの法則」という本にまとまっています。内容はといえば、思わず「あるある!」と膝を打ってしまうこと間違いなしの理論です!すなわち・・・

1.階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。

2.やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。

3.仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行なわれている。

現場で有能な人が、管理職に立つようになったとたん無能になってしまう・・・よくある話ですが、これはピーターの法則によって説明できるわけです。

「それあるある!」「わかる!」「ウケる!」と笑っていられるのも今のうち。なぜなら、本当に恐ろしいのは、「ピーターの法則から逃れる方法はない」(=お前も例外じゃないぞ!)ということなのです!

「ピーターの法則」を回避する方法はないか?

「ピーターの法則」を回避するための方法として、本書では、「創造的無能」がすすめられています。つまり、「昇進しないように、わざと無能に見せかける」という消極的対応です。

・・・なんだか途中まで面白いのにオチのつまらない映画を観たようで、「ソレジャナイ」感をシュワシュワと湧き起こらせるものでした。

この本が出版されたのは1969年、今とは状況が違いますから、やむを得ないのかもしれませんが、もう少し何かなかったのかよ・・・。

と思ったら、こんなブログを発見!!2006年の記事ですが

このブログでは、「ピーターの法則」を回避するための方法として、同じピーターでも、ピーター・ドラッカーの著書を引用していました(文中の引用は、上記のブログからの孫引きになります)。

若いときにロンドンで保険会社の証券アナリストとして活躍していたドラッカーは、あるときエコノミストに職を変え、銀行に入ります。自分は順調に仕事をこなしている、と思っていた矢先、上司に呼びつけられて、ひどい叱責を受けます。

「君は、相も変わらず、証券アナリストのままでいる。いまの仕事で成果を上げるには、一体君は何をしなければならないと考えているのか」
(ピーター・ドラッカー、中内功著『創生の時』ダイヤモンド社、1995年)

マジかよ・・・つらいドラッカー。共感度MAX!

しかしその叱責を受けて、ドラッカーは以下の結論に達するのです。

 「私は新しい仕事をやるようになるたびに、『新しい仕事で成果を上げるには、何をしなければならないか』を自問することにしています。そしてその答えは、そのたびに違ったものになっています。」
(同上)

ドラッカーは、「階層が上がることにより無能レベルに到達する」ことを回避する方法として、「自分は何をしなければいけないか」を問い直す、という方法を取っているということです。

組織において役職が変わるとは、仕事の内容が変わることです。つまり、仕事のやり方や目的が変わるということで、今までの自分のやり方に固執していてはいけないのです。

そこで重要になってくるのが、おそらく「新人マインド」だと思います。

新人マインドとは何か?

新人マインドとは、つまり読んで字のごとく、「新人のようなマインド」のことです。働いている人は、皆「新人」であった時期があったわけです。

社会人なりたての頃、入社した初めの頃・・・そのときは、新しいことを身につけるのに必死だったと思います。そこには「自分はまだまだだ」という思いがベースにあって、「早く追いつきたい」「一人前に仕事ができるようになりたい」という、どこか悔しい思いを抱いていたと思います。

しかし、いっぱしに仕事を回せるようになったり、大きな仕事をまかされるようになったり、後輩、部下を持つ立場になったりすると・・・その「新人マインド」を取り戻すことが難しくなるのです。

ドラッカーの言うように、役職が変わったり、仕事が変わるということは、その都度、仕事のやり方や目的が変わるということです。つまり、、

もう一度「新人」に戻る

ということになるわけです。

そこでなまじ経験やプライドが邪魔をして、「新人マインド」を持てずに、今までの仕事のやり方を続けると・・・そこに待っているのが「無能」という地獄の入口なわけです。

「第2の新人マインド」を身につけよう!

そこで提唱したいのが、「第2の新人マインド」です。

本物の「新人」に戻るには、なまじ、成功体験や経験を積んでいて、自分なりのやり方も身につけてしまっているだけに、1からまっさらな気持ちで「新人」をやり直すには抵抗がある。

そこで、自分の心を納得させ、しっかりと新しい場所で「新人」をするための方法論が「第2の新人マインド」です。

「第2の新人マインド」は、以下の様な思考から構成されています。

1からのやり直しなのではなく、新しい土台を積み上げているのだと考える

「新人」であることに抵抗があるのは、せっかく仕事をしてきたのに、その経験が「チャラ」になってしまうのか?モッタイナイ!!という抵抗感があると考えられます。

そうではなく、これまでの経験という「土台」があった上で、その上にさらに新しい「土台」が築かれている、とお考えください。

1からのやり直しなのではなく、新しい土台を積み上げているのだと考える

これまでの仕事をつづけているだけでは、一定のところで経験量は飽和し、土台の高さは変わりませんが、「新しい土台」でしっかり新人して新しい経験を積むことで、自分の中の土台が少しずつ高く、強固になっていくわけです。

そこで中途半端なやり方をしていては、経験が積まれず、土台を築くことはできないわけです。ですからしっかり「新人」をしていきましょう。

自分のやり方を捨てるのではなく「自分のやり方」を生み出す原理を理解して、再構築することを心がける

「新人」であることに抵抗があるのは、なまじ「自分のやり方」があるだけに、それを捨てたり、とやかく言われたりすることにプライドが許さないからではないでしょうか。

しかし、その「やり方」は新しい土台では通用しないことがほとんどです。

やり方そのものにこだわるのではなく、「どうして自分はこのやり方を身に着けてきたのか?」という背景、やり方を生み出している「原理」に着目してください。

おすすめなのは「ストレングスファインダー」を受けることです。ストレングスファインダーは、自分の中の強固な「行動」や「思考」のパターンを教えてくれます。おそらくあなたの身につけている「仕事のやり方」は、そのパターンから大きく外れていないはずです。

それを元に、いちど「自分の仕事のやり方」について、客観的に棚卸ししてみてはいかがでしょうか。

常に「仕事の目的」を問い直す

これはドラッカーも言っていることです。仕事とはあくまで「成果」を求めるものです。成果とは「目的」をどれだけ達成したかによります。

役職が変わる、仕事が変わる、その時点で、あなたの仕事の目的は変わっています・・・。それに気がつき、素早く体制を整えることが重要だと思います。

まとめ

現在は、組織のあり方も多様になってきています。階層ではなく、フラットな組織を目指そう、という試みもなされてきています。

しかし、フラットな組織であれば「ピーターの法則」から逃れられるか?というとそうではなく、やはり役割や求められる仕事の内容が変わっていくことはあります。

事ほど左様に「これまでの仕事のやり方をつづけていてはいけない」というタイミングが、仕事を長くつづけていると、必ずあるわけです。

まさに今!!自分の身に起きていることはそのタイミングかもしれません・・・。はあああ(#タメイキ#)

しかし、そのタイミングをしっかりとらえ、新しい仕事のやり方を常に身につけていけることは、実は長い仕事人生を生きていく上での、必須スキルであるような気がします。

お互い、ピーターの法則に負けずに頑張りましょう。

-思考のガジェット(ライフハック的な話)