裁判員制度について、語る。編

ヤモリさんは僕の友人で、
法律家を目指しておられます。
裁判員制度について理解を深めるとすれば、
この人をおいて他にいないでしょう!

第4回:裁判員に期待されているのは?

矢透 そもそもの話なんだけど、
無罪というのは
「そいつはやってない」
という結論なの?


ヤモリ いや、ちがう。
無罪っていうのは
「やっている、と
確信を持つことができない」

ということ。


矢透 なるほど!


ヤモリ 証拠から普通に考えて、
「こういうふうなことであれば
やってない、ということもあり得るよね」
ということが言えるかどうか。
被告人の言うことも成り立つよね、
ということであれば無罪なんだ。


矢透 それは、子供っぽい言い方をすると
人間はタイムマシンを持ってない。
だから過去には戻れない。
事件の現場に立ち会うことはできないと。

だから常に、状況証拠しかない。


ヤモリ それだけ、人を罰するってことには
間違いがあってはならんのだ、と。

裁判官は鑑定をするわけでもないし、
推理をするわけでもない。
あくまで証拠に基づいて、
やったと言えるか、言えないか。
という判断をするんであって。



矢透 さっき言ってもらったように
現状では無罪が出にくい、
ということなんだけど
裁判員制度の導入で、そこが理想通り
本来の司法のあり方になるのかな?



ヤモリ そこがまさに
期待されているところなんじゃないかな。

要は裁判官って、
学歴的には順調に来た人たちなんだよ。
そういう人たちにとって
昇進が止まるっていうのは・・・。

そこに、しがらみのない人たちが入る
というのが、けっこう大きいんじゃないかな。
裁判員は6人いるんだけど、6人全員が
「合理的な疑いの余地がない」
って言わないと有罪が出せないわけだから、
有罪にするっていうのは、
けっこう大変な作業のはず。

それに、まっとうな神経を持った人間が
証拠に基づいて考えるという方が、
有罪無罪の判定については特に期待できる。


次回、「そして、弁護士の役割は?」につづきます!