裁判員制度について、語る。編

ヤモリさんは僕の友人で、
法律家を目指しておられます。
裁判員制度について理解を深めるとすれば、
この人をおいて他にいないでしょう!

第2回:法律上の建前は

矢透 裁判員制度を導入することで、
本来の目的を達成できるようになるのかな?
「もっと司法を使おう」
っていうふうに。


ヤモリ 少なくとも、法の適用、
ということに対する理解は深まると思う。
でも最終的に
「司法を利用しよう」
ってことにつながるかどうかはわからない。

だって、裁判員制度が導入されるのは
刑事裁判だから。

刑事裁判の被告人は
司法を利用しようと思って
利用してるんじゃなくて、

悪いことをしてつかまって
そこに運ばれているわけだから(笑い)

ただそれでも、例えば
「お金を返してくれ」って
裁判を起こすにせよ

ある法律があって、
それに当てはまることを
やってるか、やってないか、
で法を適用する。

そういう判断をしてる点では、
どの裁判も変わりがないよね。

でもその判断方法がわからないと、
マスコミの世論じゃないけど
「そんなの無罪になったらおかしい」
みたいなことが叫ばれることにもなって。

例えば、法の建前としては、
「灰色だったら無罪」
という判断方法なんだけど。


矢透 建前はね。


ヤモリ でも法律上の建前っていうのは
それが命だってことだから。

建前は建前で
「実際は有罪になりますよ」というんじゃ
法律の状況としては、正しくない。

「9人の罪人を逃してでも、
1人の無辜を保護する」
というのが国家法律の大原則だから。

そういうことで動いてる世界なんだ
っていうことを理解してもらうのは、
意味があるよね。


矢透 うーん。なるほど。


次回、「無罪が出にくくなった理由」につづきます!