大嶺さんは、劇団「盗難アジア」のメンバーである。
僕、矢透泰文と同い年であるが、彼は、就職ではなく、
アルバイトをしながらの演劇生活を選んだ。
どうしてその生活を選んだんだろう?
興味はそこから始まった。

【第1回】


就職活動もしていたんです。広告をやりたくって。

大学で演劇を四年間やっていて、面白かったけれど、
職業ではないかなと思っていて。

広告をなぜ志したかというと、
うちの劇団は好きだし、どうにかして世に出したい。
ところが、今の演劇界は
「食べていけるシステム」じゃないんです。
企業資本が入ってこないからです。

成功しているのは、数えるくらいの劇団。
あとは、役者がメディアに出て「役者」として
食えているくらいで、劇団として、ではない。

企業の方で俺らを広告的価値がある媒体だと
認めてくれれば、お金が入ってくるでしょう。
だったら広告の会社に入って、プロとしての仕事を学ぼう、
と思ったんですが、いろいろあって、結局、就職できず・・・。

4年生の11月に公演が迫っていて、それには出ると
決めていました。
もう一度就活をしようという気はなかった。

自分としてやりたいことはあったし、広報とか、
自分たちでやってみて、ある程度の成果は出ていた。
それで、劇団内でやっていけるかな、という自信がついた。

じゃあ、アルバイトをしながらやってみようかなと・・・

(つづく)


エンターテインメント論!
大嶺成人さんインタビュー

ものをつくる人たち