19:姉さん、増えてます。
本が増えている。
捨てなければいけないというのに、
むしろ増えている。
「姉さん、増えてます。
本が、本が増えているんです!」
「捨てろ!」
僕は途方に暮れている。
どの本も、捨てたくないのである。
わかっている。わかっているのだ。
そういう人種が、本で家を破壊するのだ。
とりあえず、悩んでいても仕方がないので
本以外から片付けていくことにする。
家の中にたまった段ボールを捨て、
古くなってしまったスニーカー靴を捨て、
ショルダー部分が切れてしまい、
もはや背負えないデイパックを捨てた。
「ねんきん特別便」は書いて出した。
不必要なDMは破り捨てた。
そうすると、家の中が多少広くなった。
そして、本が2冊増えた。
・・・
姉さん。
(つづく)