5 携帯電話
そばにあるけど大嫌いです。
一人暮らしを始めたばかりのころ、
携帯電話を嫌って
かたくなに電話なしの生活を強行していた
時期がありました。
辛うじて自分の中で許せる範囲が
固定電話だったので
親戚のおねえさんから
固定電話の回線を譲ってもらうまでの数ヶ月の、
主な通信手段は手紙とはがき。
今思い出すと時代錯誤でへんてこで
とても面白かった。
遊びの約束すら郵便局のお世話になるのは
同性の友達と会うことすら
ロマンチックで乙女な感じで
ただ我が家に友達を招待して
わたしが手料理を振る舞うという
何の変哲もない休日、あるいは平日の夜でさえ
新鮮でキラキラしていた。
会いたい人にいつでも繋がるなんて
携帯電話は便利だけど
あのキラキラした日々は
その便利さを手放したところにあるのよね。