舎流楼灯(しゃるろっと)さんのコラム。
「そばにあるもの」から、さらに世界を広げて
どこへ、いく、のか?


22 仕事(6)

仕事とは、
「理想の自分になることだ」
と、しゃるは思う。

様々な職種を経験したけれど、
しゃるは接客業や販売業が好きだ。

オフィスワークの場合、
無駄に機転が利いたり
フットワークが軽くても
場合によっては命取りになるからだ。

クレームを回避したり
あるいは対応したりするときに
マニュアルを破る従業員であっては
会社側から守ることが出来ないから
という理由で。

それは、よくわかる。

しかし、お客様に対しての
あらゆる場面においての理想的な対応が
求められない、
そつなくこなせば褒められる、
という世界は窮屈で仕方がない。

しゃるが理想の自分を求めて止まないのは
多分、母親の折檻の理由に
『理想的な存在たれ』
というタスクをいつも孕んでいたからだ。

しゃるは子供の頃のしゃるは、
母親から課せられたあらゆるタスクを
達成したけれど、
一度として受け止めてもらったことはなかった。

そして、
最後の最後机上の空論とも言えるタスクを
わたしは達成できなかった。

わたしにはそんなことできない、
という叫びと、あれができていたら、
もしかしたら愛されたのかもしれない
という誘惑がわたしの心の奥に潜んでいる。

果て無き呪縛なのだ。

(このシリーズ終わり)