月曜日のための音楽

月曜日のための音楽

『月曜日の朝のような、ユーウツな気分のとき
あなたのそばにある音楽は、何ですか?』


上田ひろし さんの、月曜日のための音楽

「嵐の月曜日とか言うけど、火曜だってひどいもんさ…
水曜はもっとわるい 木曜もまた、哀しいもんだ…」
(Tボーン・ウォーカー「ストーミー・マンデー」1947年)

Tボーン・ウォーカー
モダン・ブルース・ギターの父
ストーミー・マンデー(8曲目)

モダン・ブルース・ギターの父 マンデー・ブルーをスカッと蹴散らす
というのも結構だけど、
憂鬱なときに
憂鬱な歌で気分を整理したくなるのは、
僕だけではないでしょう?

なのに、最近ヒット・チャートから
「哀しい」歌が著しく減ってませんか?

昭和の歌謡曲をごらんなさい、
世界の民俗音楽をごらんなさい、
歌の基本は哀歌じゃないですか?

細野晴臣に言わせれば、
人は哀歌に「愛」を感じるのだとか。
「生々しい悲しい出来事が物語化され、
哀が愛へと昇華する」
それが哀歌だと。

さすが、矢透泰文さんと
細野氏の気があうのはわかる気がする。

悲しみを心の奥で、時間かけて消化する暇を持たない
現代っ子たちは、
通りいっぺんの即物的な悲しみを「ストレス」とか呼んで、
「発散」することばかり考える。

あなたのその月曜日の憂鬱を、もっと有効に使いませんか?
メランコリーを味わうのもすてきじゃない、という発想。

ご心配なく。
即物的な会社や学校の生活から逃避せよとか、
そういう左翼ゲリラ的な扇動ではない。

ブルースはブルースでもTボーン・ウォーカーなら、
そのまま朝の電車にも乗れますよ。
テキサスの田舎から上京したTボーンが
LAの腕利き音楽家たちに囲まれて、見事に
垢抜けているから。

当世風のサウンドに乗って粋がる彼の気持ちが、
彼のギターをついつい調子に乗せた。
それが結局
「もだん・ぶるーす・ぎたーの父」
になってしまうのだから、歴史の「その時」とは面白いもの。

唄声にはちゃんと泥臭さが残っていて、
ブルース本来のブルー(憂鬱)はたんと召し上がれます。

「ストーミー・マンデー」は8曲目に収録。


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