裁判員制度について、語る。編

ヤモリさんは僕の友人で、
法律家を目指しておられます。
裁判員制度について理解を深めるとすれば、
この人をおいて他にいないでしょう!

第9回:どこまでマスコミに振り回される?

ヤモリ マスコミは面白い部分を大きく言うから。

例えば凶悪犯罪があったときに、
事件には情状面と、許されない面と
両方あるわけだけど
どういうふうに報じたらセンセーショナルか、
っていったら、そりゃあ、
こんな残忍な殺人がという面を強調するほうが
センセーショナルで視聴率がとれるから。

で、TVを見る人は
その程度の情報に振り回される。
そういう状況がある以上は、
国民と司法の間の溝は埋まらないような
気がする。
こんな事件を起こしたのに懲役5年で
済んでるのはおかしいとか。

でも
5年には5年になるだけの理由があるんだよ。

そういう目線で物事を見られないと、
何だかんだで踊らされるんだよね。


矢透 確かに俺も、マスコミの情報に
振り回されているところがあって
あんなひどい殺し方をしたのに
あの刑は軽すぎるんじゃないかって
思うことがあるなあ。

裁判員制度とマスコミの関係で
問題も指摘されているよね。

マスコミの報道で世論が操作されて
判決に影響を及ぼすんじゃないか、
支障をきたすんじゃないか、という。

裁判員制度が始まったからといって
マスコミの報道姿勢が変わるとは
思わないし・・・


ヤモリ だから、一般の国民は
どれだけ自分の頭で考えられるんだろう?
ってことだよね。
「マスコミの情報に裁判員が振り回される」
と言っている人は、逆に言うと

裁判の席に座って、実際に目の前で
行われる弁論から受ける影響を
過度に軽視している


ところがあるよね。


矢透 ああ・・・。


ヤモリ そういうことは研究もされていないと
思うんだよね。
裁判員には先入観を持っていない人を
選ぶといっているけど
普通に暮らして、
TVとかそういうものをまったく見ない、
という人の方が少ないじゃない(笑い)

だから多少「毒されている」のは
仕方のないことだと思う。

でも裁判では証拠を持って判断するし
証人尋問もするし、弁論もするし、
刑事裁判の原則というのも語るし、
さあどこで判断をするか、と言ったときに
どこまで
「マスコミがこう言ってるから」
という情報に拘束されるかっていうと・・・


矢透 確かにそうかもしれない。
裁判の現場で見る事件というのは
マスコミが語る事件とは
別物なんだろうね。


ヤモリ 別物だね。


次回、最終回「あらためて裁判員に期待されること」につづきます!