3:足元のカルチャーショック

靴を買うにあたって、大事な大事な
予算の確認を忘れていた。
そこで早速、お金について
奥さんに聞いてみることにした。

「靴を買いたいんだ」

「5,000円」
と奥さんは言った。

「もう一声!」

5,000円では、買える靴の選択肢が
限られてしまう。

確かに、今まで僕が履いてきたのは
安価な靴ばかりだった。
だから、
今回の買い物に対する熱い決意を
知らせなければ、やむを得ない金額である。

しかし
「そんなの知らんがな」
と言われれば、まあ、お終いである。

「もう一声!」
「・・・じゃあ、一万円以内。」
「のった!」

(まことに小市民的なやり取りで申し訳ない)

さあ、予算の確保ができたところで
記念すべき買い物への第一歩を、
踏み出したい。

まず手始めは、
文明の利器、インターネットでの
情報収集である。

「歩くのに適した靴がほしい」
と前回イメージを固めたので
歩くんだから 「ウォーキング」 だよな。
と、絞り込んでいく。

インターネットで買い物をするとき、
まず検索でつかまるのが、
アマゾンや、楽天やらの巨大ショッピング
サイトである。

大手だから、という安直な選択を
するのは好きじゃないが、
でかいだけあって、数だけはありそう。
ちょっとのぞいてみたい。

ウォーキング用の靴、と
検索して出てきたのは
いわゆるビジネスタイプというのか、
落ち着いた色あいのスニーカー
(スニーカーと呼ぶのかどうかさえ怪しい)
が多かった。

これが
ちょっとしたカルチャーショック!

今まで履いていたような
ランニングシューズタイプの
鮮やかな色彩を帯びた靴を
予想していた僕は、

無知ゆえの一撃を喰らうことになった。

歩きやすいからといって、
マラソンランナーが履くような
靴でなくてもいいのか・・・。

確かに、日常的に履くには
コーディネートしやすい色合いの靴が
選ばれるのは当然だよな・・・

靴選びの 「常識」 が
僕の知らないところで、存在するようだ。

(つづく)