29:あいふぉん

ソフトバンクといえば、やはり
「あいふぉん」
を抜きにしては語れない。

先日、電車の中で
「あいふぉん」
を器用に操る紳士を見た。

紳士というのは言葉のあやで
実際はおじさんであった。

それはまあいいとして、
「あいふぉん」はすごかった。

おじさんはどうやら、画面上で
新聞を読んでいたのだが、
親指と人さし指を動かすと、
画面の中の新聞が
拡大されたり、縮小されたり!

「ここ何か文字小っちぇーな。
でかくすっか!」

みたいな感じで、悟空なノリで
ぐわーっと
大きくしたり、小さくしたり!

さらにおじさんが
あいふぉんを手に持って、
左右に振ると、
画面の中の文字が
バラバラバラバラバラーっ!!!
と落ちていく!

画面なのに!
デジタルなのに!
なんという直感的な操作。

すごいのは「あいふぉん」なのだが
使っているおじさんまでが、
すごく見えてしまう不思議。

・・・しかし

「あいふぉん」欲しいですか?

と聞かれたら、僕の答えは

「いえ・・・特に欲しくありません」

である。

なぜか。

何だか、精密機械すぎるのである。
そーっと扱わないといけないような
圧迫感を感じるのである。

道具に気を遣ってしまう。

携帯電話は、確かに値段の高いものだが、
普段使うのに、気を遣うようなものでは
ないと思う。

僕はいつもポケットに
携帯電話を突っ込んでいるが、
「あいふぉん」
ではそんなことはできないだろう。

機能の高性能さと、物欲は
必ずしも結びつかない、ということを
エラい大人は覚えておいてほしい。

しかしなぜ僕はこんなエラソーなのか
逆に教えてほしいくらいだ。

(つづく)