21:books for two

前回、処分する本をようやく25冊だけ
選び出した。
25冊といっても、文庫本ばかりなので
減った感がまったくない。

焼け石に水、といった風情が漂います。



しかしとにかく、この25冊を処分しよう。
けれど、ただブックオフに売ったり、
アマゾンで売ったりするのはつまらない。

・・・ドラマがない。

ドラマがないと、つまらないでしょ。
DVとか、トラウマ、とか、必要でしょ。

そんなことを思っていたとき、
よく行くスターバックスで、こんなものを
見つけた。

「book for two」

スターバックスの福祉プログラム。

これは、古本を買い取ったお金を
目の不自由な方のための音声図書や
点字図書の製作にあてる、というものらしい。



これいいじゃない、と思った。

どうせスターバックスのイメージアップ
の一環なんだろう、という声もあるだろう。

でも、ま、いいじゃない。
僕の本が、少しでも誰かの役に立つなら
偽善だっていいじゃない。

何より、ドラマがあるじゃない。

そういうわけで、僕は25冊の本を持ち
いそいそとスターバックスに出かけた。



「本を寄付できるって聞いたんですが」
意気揚々と店員さんに話しかけた僕に
店員さんの意外な反応が待っていた。

「はあ?」

店員さんはよくわかっておらず、
責任者を呼びに行ってしまった。

(まずいぞ・・・)

土曜の午後のスタバは混んでいる。
僕のせいで、レジが止まった。
後ろにどんどん客が増えていく。

あいつ、何だよ、空気読めや。

僕は脇の下に汗をかいてきた。
恥ずかしさで顔が真っ赤になる。

なかなか、店員さんが戻ってこない。
吐き気を催してきた。客はますます増える。
子供は泣く。不良は叫ぶ。犬は吠える。

もう逃げ帰りたい。

やがて店長らしい人が出てきて
「ありがとうございます!引き取ります!」
と、僕の本を引き取っていった。

寿命が縮んだ・・・。

よく見てみたら、本を買い取る業者は
ブックオフ。

結局ブックオフじゃん!!

(つづく)