16:床が抜ける前に(物を捨てる編)

今まで
「欲しい物を買う」
ということをテーマにして、
ものを増やすことばかりに注力してきた。

悩みに悩んで買ったものには愛着がわき、
満足もしている。

し・か・し

物事には表があれば裏もある。
プラスもあればマイナスもある。

ものが増えたら、捨てなくてはいけない。


生きていると、加速度的に物が増える。

僕は今、公団の団地に住んでいるが
決して広くはない部屋が、
足の踏み場もないほど、
物であふれかえっている。

特に本。

本はいけない。

知っている人は知っていると思うが
本はひとりでに増える。
自己増殖するのである。

笑えない話だが、
集めた本で、家の床が抜けてしまった
人がいるらしい。

収集家で知られた故・植草甚一氏は
集めた本を置くためだけに、
マンションの部屋を二つも借りていた。

「天までとどけ」のあの大家族も、
二つの部屋をぶち抜きで使っていたが、
あれは人が住むためのものだった。

本を置くために、二部屋である。
この事態をどう考えるか。

悪夢だ。

本を集めるというのは、
げに果てしない悪夢の始まりなのである。


まだまだ床が抜けるにはいたらないが、
確かにじわじわと本が増えてきた。

あふれた本は本棚をはみだし、
生活空間を圧迫してきている。

「本を捨てなければ!!」

僕は決心した。

この際、本だけでなく、増えすぎた物を
ばしばし捨ててやろう。

生活を一気に変えるのだ!!

意気揚々と決心した僕の前に、
無造作に積まれた本の山が不敵に微笑んだ。

イバラの道の始まりである。

(つづく)